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【経営】

これからのテレワークでの働き方実態調査(速報)を公表

 厚生労働省から、令和2年11月16日開催の「第4回 これからのテレワークでの働き方に関する検討会」の資料が公表されています。この中で「これまでの御意見について」で挙げられている、意見についていくつかをご紹介します。「テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)」の結果は、テレワークの実態を把握する上で、参考になると思われます。この検討会での検討結果については、本年(令和2年)冬を目途に、一定の取りまとめを目指すこととしています。

■これまでの御意見について
0.総論的意見について
<主な御指摘>
・コロナでテレワークの普及が進んでいるように見えるが、会社の制度や仕組みが整えられていないと、元の出勤に戻ってしまうため、定着させることが必要。
・環境が整えば企業の方針によってテレワークはかなり実施出来る。
・働く人の多くがテレワークを経験してメリットを感じており、企業がテレワークを推進できる方向でガイドラインを改定すべき。
・職場の雰囲気やトップの理解が得られずテレワークしづらいといった声があり、次のガイドラインでは育児や介護等に対応する人に限定せず、だれでも選択でき、みなが生産性高く働けるという点をPRして作りたい。
・取引先がテレワークをやっておらず自分らもテレワークできないという問題もあり、業界単位で考える必要がある。
・テレワークの推進には、グループ会社などの垂直関係、水平関係でテレワークを実施することも重要。

1.テレワークの対象者を選定する際の課題について
○テレワークを希望しない者もいる(家では集中できない等)。
○(出社率減が会社の目標となっている等の場合には、本人の意図に反して)ずっとテレワークを命じられているようなケースもある。
○テレワークの特性を踏まえると、指示待ちの者や時間マネジメントが出来ない者は向いていないという意見もある。
○全員テレワークが可能な会社もあれば、一定数の出社が必要な会社もある。業務の特性上、そもそもテレワークを実施するのが難しい業種・職種がある。(軽作業、販売業、警備・清掃等、建築等、製造、ドライバー、理美容、医療・福祉専門職等)
○正規雇用労働者のみをテレワークの対象とし、非正規雇用労働者にはテレワークを認めていないケースがある。(非正規雇用労働者と正規雇用労働者の間には、テレワーク実施率に差が生じている。)
○以前は、育児や介護を行っている者がテレワークを希望し実施するケースが多かったが、緊急事態宣言下では、労働者の大半がテレワークを行ったというようなケースもある。継続的にテレワークを実施するに当たっては、優先順位やテレワークを行う頻度なども考える必要があるか。
<主な御指摘>
・長期的に価値を発揮できる生産性が高い要件を整えることが大切であり、新入社員は自律的に仕事を進められないので、無意識的な学びの機会をどのように設定していくのか、テレワークの対象とするのかしないのかという検討も必要。
・どの仕事をテレワークにするかということについて、既存の仕事を前提にするのではなく、仕事内容の本質的な見直しを行うべきであることを抽象的でよいので、ガイドラインに示すべき。
・セキュリティの問題があるから、この仕事はテレワークできないということをよく聞くが、どのようなセキュリティが大切で、そのために今の技術でどのように解決可能か考えることが必要。
・テレワークをする権利のような議論はヨーロッパで出てきている一方で、テレワークをしたくない場合にテレワークを命じられても断る権利があるのか、どのようにすれば企業の業務遂行上望ましいテレワークの配分の仕方が可能か、議論する必要がある。
・テレワークを選定する際の課題は、使用者と労働者の考えがマッチしないところで問題が生じてくるため、労働者側、使用者側それぞれの立場で、テレワークを実施したい・実施したくない理由にどのようなものがあるのか整理することが必要。
・法律的な関係が明確に言える部分、例えば差別に当たるような形でテレワークの対象者を選んではいけないというような部分については確認しておく対応が考えられる。
・テレワークが拡大することで、私生活の中に問題が生じてきたということも議論すべき。

2.テレワークの実施に際しての労務管理上の課題(人事評価、費用負担、人材育成等)
(1)人事評価
○テレワークは非対面の働き方であることから、対面での働き方と比較し、労働者個々人の業務遂行状況を把握しにくいという側面がある(成果物作成に当たって非常に煩雑な調整が必要となった場合なども評価者には見えにくい。)。
○個々人の業務状況の把握のしづらさから、業務を遂行する中で発揮される理解力や調整能力、業務への取り組み姿勢等を含めた評価が困難になる可能性がある。
○成果のみで判断してしまいやすく、人事評価を行う側にも訓練が必要という声がある。
○(出社している者とテレワークしている者が同様の成果を上げている場合について)出社している者を、出社してくれているというだけの理由で、高く評価する者がいる。
<主な御指摘>
・日本では、口頭での指示による仕事の進め方が一般的であり、この問題は人事評価に現れている。
・誰かがやらなければならないが、働きぶりが見えないような仕事について、その場合の評価が低くなるのは問題。働きぶりが見えない場合の評価も明示するべきではないか。
・人事評価について、企業の自由でやる部分が多いので、そのやり方について政府が対応しすぎるべきではない。
・成果につながる過程を見える化することが重要。例えば、チームに貢献することを評価するなど、見える化してこなかった過程の明確化をしたらいいのではないか。
・テレワークを行う人の人事評価方法を分けて、特別扱いし、固定化するのではなくて、誰もが必要とするときにテレワークを選択できるようにすることが重要。全員テレワークをしていても、人事評価できるようにすべき。
・人事評価は使用者の権限と考えるのが一般的であり、会社が労働者に対してどのような働き方をしてほしいかが基本になる。具体的なルールを定めて、それを遵守する、評価の手続きをきちんと踏むことが重要。ガイドラインには、今書かれていることに加え、手続き面を強調することがありうる。
・評価については、プロセスを管理する必要があり、うまくいかない場合には、労働者側から発信することが必要。評価について、成果だけでなく、行動評価をしている企業も多く、望ましい行動とは具体的に何かを明示することもありうる。

(2)費用負担
○テレワークを自宅で実施するためには、机や椅子、PC等の設備のほか、光熱費やWi-Fiルーターに係る通信費等が発生するが、これをどちらがどのように負担するか。
○企業側が「テレワーク手当」等を創設し、別途支給しているケースもあるが、一方で企業側がテレワークに係る費用を特段負担していない場合もある。
○サテライトオフィスやカフェ、コワーキングスペースでテレワークを実施する場合には、そこまでの移動費用や利用料等が発生するが、これをどちらがどのように負担するか。
○「テレワーク手当」について現在実費相当分を上回る場合は課税されているが、これについて非課税化すべきではないかという声がある。
<主な御指摘>
・テレワーク手当をどうするかについては、そもそもテレワークの権利があるのか。権利義務を詰めた上でないと難しい。
・椅子と机が重要なので、初期費用を念頭に置くのがいいのではないか。
・費用負担については、労働者を採用する際、またテレワークを導入する際に説明すべき。テレワーク手当を非課税化するならば、それはなぜかという根拠を明確に整理すべき。
・個々の企業ごとに状況に応じたルールをしっかり定めて、それをしっかり守られるようにしていくということが重要。
・費用負担について、不適切な椅子や机を使用すると、腰痛等が起きることがあるので、自宅に設備を送るなど、きちんと労使で話し合うことが重要。

(3)人材育成
○特に新入社員、中途採用及び異動直後の社員等(以下「新入社員等」)に対して、対面でのOJTを行わずにオンラインによる方法のみで必要な研修・教育を行うことは困難であるという声がある。
○業種によっては、オンラインによるOJTも可能との声もあるが、新入社員等に対してはどのような育成方法が適切か。
○テレワークでは、対面の場合と比較してコミュニケーションが取りづらく、特に新入社員等のわからないことが多く、上司や部下、同僚に色々と聞きたい状況にある者にとっては不安が大きいという声がある。
○テレワークを実施する際には、会社で作業を行う場合とは異なる新たな機器(例.トークン)や、オンライン会議ツール等を使用する場合があり、一定のITスキルを習得していることが求められることもある。
○会社の管理職層には、ITにアレルギーのある者や、相談する際には資料を紙で持ってこないとだめという考え方の者もおり、そういったことがテレワークを導入する際の障壁となっている場合もある。
○自律的に業務を遂行できる人材の育成が必要。積極的・自律的に情報収集・課題把握・課題解決が出来る者、自分で適切に時間管理が出来る者の育成が必要。
○テレワークを実施する際に、適切な業務指示、マネジメントができる管理職の育成が必要。
<主な御指摘>
・即戦力として採用するわけではなくて、いわば素人を採用して、その上司や先輩が人材育成を行う日本のやり方では、人材育成をテレワークでやっていくことは難しい。
・人の姿を見て学ぶことが重要であり、人材育成については意識的にオフラインを使うのも一つ。
・人の姿を見ることができないということでオンラインとオフラインでは大きく異なるので、例えばジョブ型に移行した際などに問題にならないよう、教育面でどこに配慮すべきかということもガイドラインに明示すべき。
・仕事の進め方として、最初に指針を示し、自律的に仕事を進めさせることができるような、マネージャーを育成することが重要。
・オンラインで教育はかなりできるのではないか。オンラインとオフラインを組みあわせるなど、いいケースを共有していくことが重要。

3.テレワークの際の労働時間管理の在り方について
○テレワークを実施する際には、労働関係法令は出社時と同様に適用されることとなるのか。就業の場所など、労働条件の明示はどのように行う必要があるか。
○テレワークの際の労働時間の把握について、どのような方法が考えられるか。(現認、ログ管理、自己申告等)
○家庭の事情等により中抜けや、途中休憩が発生した場合についてどのように取り扱うか。
○テレワークにおける事業場外みなし労働時間制はどのような場合に適用できるのか。
○フレックスタイム制、裁量労働制、変形労働時間制など様々な労働時間制度があるが、テレワークにはどのような労働時間制度が有効か。
○時間単位年休についてテレワークの際にどのように活用できるか。
○テレワークを実施する際は、長時間労働になりやすいというデータがある(その一方で時間外労働は減ったという声もある)。長時間労働を防ぐには、どのような対応が必要か。また、子育て等のニーズに対応するための深夜のテレワークについてどのように考えるか。
<主な御指摘>
・過度な長時間労働にならないようにするのが大切だが、厳密に管理されるとテレワークのメリットが失われるので、バランスをとることが重要。
・現行ガイドラインの、中抜け時間について休憩や時間単位年休にするという記載に違和感がある。
・テレワークで利用できる労働時間制度や、深夜労働・時間外労働の取り決めについて、書きぶりに工夫が必要。
・日本でインターバル制度が普及していないが、この制度を利用するアプローチもある。
・これからテレワークを導入する企業には、それぞれの労働時間制度がどのような働き方に適しているかガイドラインで示すことが考えられる。
・テレワークにおける労働時間を、長時間労働をしているのか、中抜けにより長時間労働に見えるのか区別できるような運用が必要。自社では、メールで始業や中抜けについて報告している。
・労働時間管理とメンタルの話は表裏一体。過度な長時間労働にならないためには、私生活の重なりを前提とした仕組みの構築が必要。
・テレワークが常態になってくると、上司がサービス残業にならないよう監督するのが大切。労働時間はミクロにやると双方にとってよくない。始業と終業の明示をすることで、連絡しない時間を作ることや、返信は次の日でよいとすること等がありうる。
・テレワークは時間にフレキシブルに対応でき、育児等がしやすい利点があるので、労働者が主体的に「この時間はつながらない」等を整理し、企業と協議しながら運用するのが理想的。
・フランスなどで言われる「つながらない権利」という形での検討もあり得る。

4.テレワークの際の作業環境や健康状況の管理・把握、メンタルヘルスについて
・自宅等でテレワークを行う場合、パソコンの配置や照明、換気などの作業環境については、事業者による管理が行き届かないことがある。
・テレワークにおいては、周囲に同僚や上司がおらず、対面の場合と比較してコミュニケーションが取りづらい場合があるため、不安を感じること等により、心身の健康に影響を与えるおそれがあり、またその変化に気づきにくい。
・「通勤」というきっかけがないため、「仕事」と「生活」の境界線を引くことが難しく、心身の健康に影響を与えるおそれがある。
<主な御指摘>
・仕事とプライベートとの差がなくなることによる弊害として、安衛法上の執務環境や同居家族のストレス、生産性の低下の問題などがある。
・テレワークが原則となると、孤独な作業であるためメンタルヘルスに罹患するリスクが高まるとの指摘もあるが、調査の結果からは、非テレワークと比べてメンタル発症リスクに違いはないものの、テレワークの場合、メンタル不調を見つけにくいので重症化する傾向があるのではないかと感じる。
・労働時間で成果を計れない仕事が増えてきている点やメンタルを含め、時間管理では防げない健康被害がある。過度な監視や、コミュニケーションがこれまでと異なるのはストレスになる。
・孤独を感じる人が多いことについては、オンライン上での交流の場、産業医や心の相談センターで気軽に相談できればよい。参加が義務になるとそれもストレスになるので注意が必要。
・具体的な健康被害に対する予見可能性について的確な判断をすることが必要。メンタルヘルスに限らず、オンラインでのやりとりではどういうところに注意をして健康被害についての予見をすべきか、というポイントになる着眼点を示すことが考えられる。
・健康確保の考え方から、長時間労働を防ぐことが必要。

5.その他
(労災関係)
○テレワーク実施中に発生した事故等について、労働災害の補償の範囲が不明確であるという声がある。
(最低賃金)
○事業場と在宅勤務の住所地が異なる場合の最低賃金の取り扱いについて、明確化すべきではないか。
(その他)
○ワーケーションという形で観光地でテレワークを行う場合の労働関係法令(労働時間制度や労災保険制度)の適用の考え方もガイドラインで明確化すべきではないか。
○テレワークをしやすい業種であっても、会社の文化として、対面での会議が主流な場合や、書類での電子化が進んでいない場合はテレワークの導入・実施は難しい。押印や署名がテレワークの導入・実施の障壁となっているケースもあるのではないか。
○職場の雰囲気的にテレワークをしたいといえる環境になかったり、テレワーク導入又は実施にトップや経営層の理解が得られず、結果として、テレワークの実施が阻害されていることがあるのではないか。
○労働者が仕事と生活の調和を図りながら、仕事と生活の時間を区別するためにはどのようにすべきか。つながらない時間などを設定する手段もあるのではないか、という声がある。
○これまで定額の通勤手当を支給していた企業がテレワークの導入を機に出勤する都度の交通費を支給する取り扱いとした場合の社会保険・労働保険の取り扱いをきちんと周知すべきではないかという意見がある。
<主な御指摘>
・テレワークで、パワハラやセクハラが起きることがあり、共通認識としてまだ浸透していないので示していくべきではないか。
・ワーケーションについても労働基準法、労災保険法については検討する必要がある。
・安心安全を提供する意味では、テレワークは権利とも言えるが、会社の義務となるのかどうかはクリアにする必要がある。
・住居を転居し、通勤が実費精算となったときに、各企業でルールが設けられているはずだが、これを明確化すべき。
・自宅が就業場所として適切でない場合、サテライトオフィスやコワーキングスペースを使用する際の考え方について、会社としてルールを作っておくべきではないか。
・企業の中で各世代がテレワークについてどのように考えているのか調べるのが大切で、アンケートや可能であれば企業の中で対話する場を設けるのが大事。
・持続的に組織・個人が成長していける働き方にする必要がある。
・テレワーク制度の対象者がそもそも全従業員である場合の生産性上昇の割合は比較的高く、どこでも仕事ができるように設計されている場合は生産性が上昇する。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14849.html

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