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【税制】

内閣府「電子的な受取証書(新設された民法第486条第2項関係)についてのQ&A」を公表

 内閣府ホームページで「電子的な受取証書(新設された民法第486条第2項関係)についてのQ&Aを掲載しました。」が公表されました。公表された「電子的な受取証書(新設された民法第486条第2項関係)についてのQ&A」は10ページの資料で、今回の民法改正の趣旨、記録内容、提供方法などとあわせて、問8で、「民法上の受取証書」と「消費税の仕入税額控除の適用を受けるために保存が必要となる請求書等(以下「区分記載請求書等」という。)」の関係性はどうなっているのか。また、令和5年10月より適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されるが、「民法上の受取証書」と「適格請求書(インボイス)」の関係性について、説明されています。

下記にいくつかを抜粋してご紹介します。

問1.受取証書の交付の請求に代えて、その内容を記録した電磁的記録の提供の請求を可能とする、今回の民法改正の趣旨は何か。

・近年、インターネットを用いた電子商取引が増加するなどの状況の中で、一部の弁済者にとっては、受取証書を受領するよりも、保存や検索が容易な電子的手段によって受取証書の内容を記録したものの提供を受ける方が便利だとされる場面が増加しつつある。
これに加えて、特に、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、社会全体として在宅勤務が推奨されている中、主に勤務先における税務処理等の観点から必要とされる受取証書の受領、保管等の事務を行うためだけに出社を余儀なくされたという声もあり、受取証書ではなく電磁的記録の提供を受けたいというニーズがあった。

また、弁済受領者側においても、特に非対面取引が増加する中で、受取証書の印刷費や郵送費の負担や、受取証書の交付のための体制・設備の整備を求めることが過度な負担となる場面も出てきつつある。

・以上のとおり、弁済者側において受取証書の交付を受けることに代えて電磁的記録の提供を受けたいというニーズがあること、弁済受領者側においても、受取証書の交付が過度な負担となる場面が生じていることなどの環境変化や、今後ますます取引実務のデジタル化が進むと考えられることに鑑みて、受取証書の交付の請求に代えて電磁的記録の提供の請求を行うことができるよう措置を講ずることとしたものである。

・他方、弁済受領者の中には、スマートフォンやパソコン等を用いて電磁的記録の提供を行うことが不可能あるいは困難な者も少なくないと考えられるため、上記の措置と併せて、これらの者に不相当な負担を課すことのないよう配慮した措置を講ずることとしている

問2.電子的な受取証書(新民法第 486 条第2項の規定する電磁的記録をいう。以下同じ。)にはどのような情報を記録する必要があるのか。【新民法第 486 条第2項における「その内容」について】

・書面の受取証書と同様に、受領文言及び債務を特定することができる情報(金銭債務が弁済された場合の受取証書においては、通常、@弁済受領者(債権者)、A弁済者(債務者)、B弁済の日付、Cある債務の弁済として一定金額が受領された旨の情報。Aについては、弁済者の求めがない場合には省略しても差し支えないと考えられる。)があれば足りると考えられる。

※ 受取証書は、その形式に制限はなく、取引観念上適切なもので足りるとされており、また、民法第 486 条の趣旨が弁済者に弁済の証拠を提供するところにあることを踏まえると、上記のように解される。

※ 売買契約に基づく代金債務の弁済にあっては、記録されている情報全体から債務が特定される場合(例えば、頻繁には取引を行っていない当事者間で提供された電子的な受取証書に、弁済の日時が正確に記録されている場合など)、売買目的物たる品目等の情報は必ずしも民法上求められるものではない。

※ 飽くまで民法上の要件として必要であると考えられる情報であり、税務関係等他の法令上の要件とは必ずしも合致しない(問8参照)。

・なお、民法上の取扱いを離れて述べれば、電子的な受取証書の利活用の観点に立ち、例えば品目等、経費精算に必要とされる情報や家計簿アプリ等との連携を想定した情報を加えて記録することも有用であると考えられる。


問8.「民法上の受取証書」と「消費税の仕入税額控除の適用を受けるために保存が必要となる請求書等(以下「区分記載請求書等」という。)」の関係性はどうなっているのか。
また、令和5年 10 月より適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されるが、「民法上の受取証書」と「適格請求書(インボイス)」の関係性についてはどうか。


・「民法上の受取証書」と「区分記載請求書等」では、必要とされる記載事項が異なる。ただし、「民法上の受取証書」に「区分記載請求書等」として必要な事項が記載されていれば、これを保存することにより消費税の仕入税額控除の適用を受けることができる。

※ 区分記載請求書等とは、請求書や領収書といったもので、@請求書発行者の氏名又は名称、A取引年月日、B取引内容(軽減税率の品目である旨)、C税率ごとに区分
して合計した税込対価の額、D請求書受領者の氏名又は名称、の情報が必要(Dについては、不特定対数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業等に係る取引については省略可)が記載されているものを指す。

・また、「適格請求書(インボイス)」は、区分記載請求書等に一定の記載事項を追加したものであるため、「民法上の受取証書」に「適格請求書(インボイス)」として必要な事項が記載されていれば、その「民法上の受取証書」を「適格請求書(インボイス)」とすることも可能である。

※ 適格請求書(インボイス)には、区分記載請求書等に必要な事項に加え、@登録番号(課税事業者のみ登録可)、A適用税率、B税率ごとに区分した消費税額等、の情報が必要であるとされている。

・このため、「民法上の受取証書」について、同一の電磁的記録をもって、消費税の仕入税額控除の適用のために保存が求められるものとして活用しようとする際には、区分記載請求書等として必要な記載事項を満たす必要がある。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 内閣府 ]
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/document/210709document01.pdf

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