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【税制】

令和3年8月11日からの大雨による災害に関しての被災中小企業・小規模事業者対策

 令和3年8月11日からの大雨による甚大な災害を受け、西日本を中心とした複数の市町村に次々と災害救助法が適用されておりますが、国税庁ではこのほど、災害に関する申告・納付等に係る手続きや個別の災害関連情報をホームページ上に掲載しています。災害により被害を受けた場合には、以下のような申告・納税等に係る手続き等がありますので、状況が落ち着いたらまずは最寄りの税務署へ相談するよう呼びかけています。

■災害により被害を受けたとき
(1)災害により申告・納税等をその期限までにできないとき(交通途絶等)は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限が延長されます。

例えば、毎月10日(納期の特例の適用を受けている方は7月10日、翌年1月20日)が納付期限の源泉所得税及び復興特別所得税の納付について、災害により被害を受けたために期限までの納付ができない場合には、期限の延長(災害による申告、納付等の期限延長申請)を受ける手続があります。この手続は、期限が経過した後でも行うことができますので、被災の状況が落ち着いてから、最寄りの税務署にご相談ください。

(2)災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、納税の猶予を受けることができます。

(3)災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で所得税法に定める雑損控除の方法(この雑損控除の損失額には豪雪による家屋の倒壊を防止するための屋根の雪下ろし費用も含まれます。)、災害減免法に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。
また、給与等、公的年金等、報酬等から徴収される(又は徴収された)源泉所得税の徴収猶予や還付を受けることができます。

(4)災害により被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、災害等の生じた日の属する課税期間等について、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は適用を受けることの必要がなくなった場合には、所轄税務署長に申請しその承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けること、又は適用をやめることができます(災害によって事務処理能力が低下したため、一般課税から簡易課税への変更が必要になった場合や、棚卸資産その他業務用の資産に相当な損害を受け、緊急な設備投資を行うため、簡易課税から一般課税への変更が必要になった場合などに適用されます)。

 なお、今回の大雨による災害に関しては、経済産業省でも災害救助法の適用を受けた地域の被災中小企業や小規模事業者を対象に、相談窓口の設置や災害復旧貸付けの実施、信用保証協会による保証、既往債務の返済条件緩和、小規模企業共済災害時貸付の適用などの支援策を講じているので併せて参考にしてください。

■経済産業省 令和3年8月11日からの大雨による災害に関して被災中小企業・小規模事業者対策
1.特別相談窓口の設置
長野県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県及び長崎県の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構関東本部、中部本部、中国本部及び九州本部、並びに関東経済産業局、中国経済産業局及び九州経済産業局に特別相談窓口を設置します。

2.災害復旧貸付の実施
今般の大雨により被害を受けた中小企業・小規模事業者を対象に、長野県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県及び長崎県の日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫が運転資金又は設備資金を融資する災害復旧貸付を実施します。
〔日本政策金融公庫の災害復旧貸付の概要〕
【対象者】
災害により被害を被った中小企業・小規模事業者

【金利】(いずれも令和3年8月2日現在、貸付期間5年の場合)
中小企業事業→基準利率1.11%
国民生活事業→基準利率(災害貸付)1.26%

【貸付限度額】
中小企業事業→別枠で1億5,000万円
国民生活事業→各貸付制度の限度額に上乗せ3,000万

【貸付期間】
中小企業事業
→設備15年以内・運転10年以内(据置期間2年以内)
国民生活事業→適用する各貸付制度の貸付期間に準ずる
※一般貸付を適用した場合は10年以内(据置期間2年以内)

3.セーフティネット保証4号の適用
災害救助法が適用された長野県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県及び長崎県の各市町村において、今般の大雨の影響により売上高等が減少している中小企業・小規模事業者を対象に、信用保証協会が一般保証とは別枠の限度額で融資額の100%を保証するセーフティネット保証4号を適用します。
近日中に官報にて地域の指定を告示する予定ですが、信用保証協会においてセーフティネット保証4号の事前相談を開始します。
〔セーフティネット保証4号の概要〕
1.制度概要
自然災害等の突発的事由(噴火、地震、台風等)により経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給の円滑化を図るため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で保証(100%保証)を行う制度。

2.災害の指定基準
(1)災害の発生に起因して、多数の中小企業・小規模事業者が直接又は間接的に被害を受け、又は受けるおそれが生じたとして都道府県から指定の要請があった場合であって、国として指定する必要があると認めるとき
(2)災害救助法が適用された災害及び地域

3.対象中小企業者
(イ)指定地域において1年間以上継続して事業を行っていること。
(ロ)災害の発生に起因して、当該災害の影響を受けた後、原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。
(売上高等の減少について、市区町村長の認定が必要)

4.内容(保証条件)
@対象資金:経営安定資金
A保証割合:100%保証
B保証限度額:無担保8,000万円、普通2億円(別枠)
C保証人:原則第三者保証人は不要

4.既往債務の返済条件緩和等の対応
長野県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県及び長崎県の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫及び信用保証協会に対して、返済猶予等の既往債務の条件変更、貸出手続きの迅速化及び担保徴求の弾力化などについて、今般の大雨により被害を受けた中小企業・小規模事業者の実情に応じて対応するよう要請します。

5.小規模企業共済災害時貸付の適用
災害救助法が適用された長野県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県及び長崎県の各市町村において被害を受けた小規模企業共済契約者に対し、中小企業基盤整備機構が原則として即日で低利で融資を行う災害時貸付を適用します。
〔小規模企業共済災害時貸付の概要〕
1.貸付対象者
小規模企業共済制度へ加入後、貸付資格判定時(4月末日及び10月末日)までに、12カ月以上の掛金を納付している共済契約者(ただし、貸付限度額が50万円以上)であって、災害救助法の適用される災害の被災区域内に事業所(※1)を有し、かつ、当該災害の影響により次の(1)又は(2)の要件に該当し、その旨の証明を商工会、商工会議所、中小企業団体中央会その他相当の団体から受けていること。

(1)被災区域内にある事業所又はその契約者事業の主要な資産(※1)について全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準じる損害を受けていること。
(2)当該災害の影響を受けた後、原則として1月間の売上高(※1)が前年同月に比して減少することが見込まれること。
(※1)共済契約者が共同経営者の場合はその共同経営者の個人事業主の事業に関するもの、共済契約者が会社等の役員の場合はその会社等の事業に関するものとなります。

2.貸付条件
(1)貸付限度額:原則として納付済掛金の合計額に掛金納付月数に応じて7割〜9割を乗じて得た額(50万円以上で5万円の倍数となる額)と1,000万円のいずれか少ない額
(2)貸付利率:年0.9%(令和3年8月19日現在)
(3)貸付期間:貸付金額500万円以下36ヵ月505万円以上60ヵ月
(4)償還方法:6ヵ月ごとの元金均等割賦償還
(5)担保、保証人:不要
(6)借入窓口:商工組合中央金庫本・支店

3.その他
以下が整っていれば、原則、即日貸付が可能です。(※2)
@被災したことを証明する下記いずれかの証明書
・市町村が発行する罹災証明書又は被災証明書
・商工会、商工会議所又は中小企業団体中央会から確認を受けた被災証明願(所定様式)
A独立行政法人中小企業基盤整備機構からの通知物(共済契約者の氏名及び契約者番号が分かるもの)
B貸付契約に必要な実印、印鑑証明(3ヵ月以内発行の原本)
C本人確認書類(運転免許証、健康保険証等)
D収入印紙
(※2)借入窓口を商工中金以外に登録している場合には、借入窓口を商工中金に変更する手続きが必要になるため、即日貸付はできません。

詳細は中小企業基盤整備機構共済相談室(050-5541-7171)までお問い合わせ下さい。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 国税庁 ]
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/index.htm

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