【経営】
厚生労働省では、全国の大学生等を対象として、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施します。本キャンペーンは平成27年度から実施しており、本年で10回目となります。
キャンペーン期間中、厚生労働省では、大学等での出張相談や、アルバイトを始める前に知っておいてほしいポイントをまとめたリーフレットの配布などを行います。事業主の方も、今一度アルバイトを雇う際の労働条件を確かめてみてください。
■キャンペーンの概要
1.実施期間
令和6年4月1日から7月31日まで
2.重点的に呼びかける事項
(1)労働条件の明示
(2)シフト制労働者の適切な雇用管理
(3)労働時間の適正な把握
(4)商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
(5)労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止
3.主な取組内容
(1)都道府県労働局による大学等への出張相談の実施
(2)都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応
(3)大学等でのリーフレットの配布等による周知・啓発
■事業主の方へ
【1:アルバイトを雇うときも、書面による労働条件の明示が必要です】
■雇い始めてから、「最初の話と違う」といったトラブルが起こらないように、会社から労働条件通知書などの書面を交付し、労働条件を明示する必要があります。特に次の7項目については必ず書面で明示しなければなりません。
■労働者が希望した場合には、メール、FAX等(印刷できるもの)による明示も可能です。
@契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)
A契約期間の定めがある契約を更新する際のきまり(更新の有無、更新上限、更新する場合の判断のしかたなど)
Bどこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容、これらの変更の範囲)
C勤務時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交代制勤務のローテーションなど)
Dバイト代(賃金)はどのように支払われるのか(バイト代の決め方、計算と支払いの方法、支払日)
※バイト代などの賃金は都道府県ごとに「最低賃金」が定められており、これを下回ることはできません。
また、高校生アルバイトや雇入れ後の研修期間中も、最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
E辞めるときのきまり(退職・解雇に関すること)
Fその契約期間内に労働者が労働契約法第18条第1項の無期転換申込みをすることができることとなる有期労働契約の締結の場合においては、無期転換申込みに関する事項及び無期転換後の労働条件
【2:学業とアルバイトが両立できるようなシフトを適切に設定しましょう】
■大学生等に対するアルバイトに関する意識調査(平成27年厚生労働省実施)では、「試験の準備期間や試験期間中に休めなかったり、授業に出られないほどのシフトを入れられた、または変更された」といった回答がありました。
学生は学業が本分であり、学業とアルバイトが適切な形で両立できる環境を整えるよう配慮する必要があります。
■採用時に合意したシフトの変更などの労働契約の内容の変更については、労働契約法第8条により労働者と使用者の合意が必要であり、使用者が一方的に急なシフト変更を命じることはできません。
【3:学生アルバイトの労働時間を適切に把握する必要があります】
■アルバイトも、労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録する必要があります。
■就業を命じた業務に必要な準備や片付けの時間、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練を受講していた時間も労働時間となります。
■原則として労働時間の端数は1分でも切り捨てることはできません。
■アルバイトにも残業手当の支払いは必要です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
【4:商品を強制的に購入させることはできませんまた、一方的その代金を賃金から控除することもできません】
■アルバイトが希望していないのに、商品を強制的に購入させることはできません。アルバイト本人が希望して商品を購入した場合でも、賃金から、労使協定なしに一方的に商品代金を差し引くことは、労働基準法違反です。
【5:アルバイトの遅刻や欠勤等に対して、あらかじめ損害賠償等を定めることや労働基準法に違反する減給制裁はできません】
■アルバイトの遅刻や欠勤などによる労働契約の不履行や不法行為に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることはできません。
■遅刻を繰り返すなどにより職場の秩序を乱すなどの規律違反をしたことへの制裁として、就業規則に基づいて、本来受けるべき賃金の一部を減額する場合でもあっても無制限に減給することはできません。
1回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。また、複数にわたって規律違反をしたとしても、減給の総額が一賃金支払期における金額(月給制なら月給の金額)の10分の1以下でなくてはなりません。
詳しくは下記参照先をご覧ください。