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【経営】

経済財政運営と改革の基本方針(骨子案)について

 令和6年6月4日、首相官邸において「令和6年第7回経済財政諮問会議」が開催されました。今回の会議では、中期的な経済財政の枠組み及び骨太の方針2024(経済財政運営と改革の基本方針2024)の骨子案について議論が行われました。

【中期的な経済財政の枠組みについて】
これまで政府は、「経済あっての財政」との考え方の下、「新経済・財政再生計画」(2018年6月決定)に基づいて、機動的な政策対応と継続的な歳出効率化等に取り組んできたが、その結果、コロナ禍に直面しつつも、高い成長と歳出改革の継続を前提に、2025年度PB黒字化の達成が視野に入る状況にある。

こうした中、我が国は、33年ぶりの高水準の賃上げ、史上最高水準の企業の設備投資など、デフレから完全に脱却する絶好のチャンスを迎えている。新たな中期的枠組みにおいては、こうしたチャンスをつかみ、我が国を「新たなステージ」へと移行させることにより、経済の規模を拡大させつつ、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを前進させていくことが重要。こうした認識の下、以下提案する。

・新たな枠組みは、人口減少が本格化する2030年度までを期間として、持続可能な経済社会の実現を軌道に乗せるべく、必要な経済・財政・社会保障を一体とした政策の基本方針を定める。

・長期推計で確認した経済・財政・社会保障の持続可能性確保へとつながるよう、「実質1%を上回る成長」、「財政健全化目標の旗を下ろさない」、「歳出改革努力の継続」の3つを柱に、必要な政策方針をまとめるべき。

・実質1%を安定的に上回る成長の実現に向けて、生産性向上、労働参加拡大、出生率向上等に取り組む。さらに、需給両面で成長を支えるため、GX、経済安全保障、人への投資等について、官民連携の下で、民間の予見可能性を高める中長期の計画的な投資を推進する政策運営を行い、積極果敢な民間投資を喚起。財源も一体的に検討し多年度でバランス。

・金利のある世界への移行や大規模な政策対応を必要とする有事への備えが必要となる中、財政に対する市場の信認が揺るがぬよう、現行の財政健全化目標(2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す。同時に債務残高対GDP比の安定的引下げを目指す。)の旗は下ろさない。
PB黒字化後も、財政の信認が損なわれることのないよう、ストック目標を維持しつつ、次の観点も勘案した、新たな計画期間中における適切なフロー目標を設定し、財政健全化努力を継続。

・引き続き「経済あっての財政」の下で経済再生と財政健全化のバランスを両立させる。

・2030年代以降の長期的な経済・財政・社会保障の持続可能性確保へとつなげる。

・一時的な景気の下押しへの機動的な対応を可能とする柔軟性をもたせる。

・これまでの3年間、財源を確保した上で計画的な支出増に対応しつつ、歳出の目安に沿った予算編成を実施してきたところ、今後も歳出改革努力をしっかりと継続。

・その際、物価安定目標の持続的・安定的な実現の下で、経済・物価動向等を適切に反映。

・新技術の社会実装、DXによる生産性向上、公的サービスの広域化・共同化や産業化による公的部門の効率化等、成長力強化と親和的なワイズスペンディングの方策を更に推進・強化。

・成長と分配の好循環を拡大させる中で、歳出構造を平時に戻す。

・経済再生と財政健全化の両立のため、EBPMを強化し、財政の質を改善。

・改革の着実な推進に向け、予算要求に合わせてEBPM強化の対象選定とエビデンス整備の方針を策定し、年末までにEBPMの強化策及び改革工程の具体化を図り、毎年改革の進捗管理・点検・評価を実施。

【骨太の方針2024について】
来年以降、物価上昇を上回る賃上げを定着させていくことが必要である。その上で、人口減少・少子化が進む中でも、豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会を構築していかなければならない。

そのため、骨太の方針2024においては、物価上昇を上回る賃上げの定着に向けた賃上げの促進や価格転嫁対策、人手不足対策、社会課題解決をエンジンとした経済成長に向けた官民連携での投資の拡大と新技術の社会実装、中長期的に持続可能な経済社会に向けた経済・財政・社会保障を一体とした改革について、基本方針を明らかにしていく。

■経済財政運営と改革の基本方針2024
骨子案
第1章成長型の新たな経済ステージへの移行

1.デフレ完全脱却の実現に向けて

2.豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会に向けて


第2章社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現
〜新たな経済ステージの実現〜

1.豊かさを実感できる「所得増加」及び「賃上げ定着」
(1)賃上げの促進
(2)三位一体の労働市場改革
(3)価格転嫁対策
2.豊かさを支える中堅・中小企業の活性化
(1)人手不足への対応
(2)中堅・中小企業の稼ぐ力
(3)輸出・海外展開
3.投資の拡大及び革新技術の社会実装による社会課題への対応
(1)DX
(2)GX・エネルギー安全保障
(3)フロンティアの開拓
(4)科学技術の振興・イノベーションの促進
(5)資産運用立国
4.スタートアップのネットワーク形成や海外との連結性向上による社会課題への対応
(1)スタートアップの支援・ネットワークの形成
(2)海外活力の取り込み
(3)大阪・関西万博の推進
5.地域における社会課題への対応
(1)デジタル田園都市国家構想
(2)デジタル行財政改革
(3)地方活性化及び交流の拡大(交通・物流、観光など)
(4)農林水産業の持続可能な成長及び食料安全保障
6.幸せを実感できる包摂社会の実現
(1)共生・共助社会づくり
(2)安全・安心で心豊かな国民生活の実現(文化芸術・スポーツなど)
7.持続的な経済成長の礎となる国際環境変化への対応
(1)外交・安全保障
(2)経済安全保障
8.防災・減災及び国土強靭化の推進
(1)防災・減災及び国土強靭化
(2)東日本大震災、能登半島地震等からの復旧・復興

第3章中長期的に持続可能な経済社会の実現
1.新たなステージにおける経済財政政策
2.中期的な経済財政の枠組み
3.主要分野ごとの基本方針と重要課題

(1)全世代型社会保障の構築
(2)少子化対策・こども政策
(3)教育・研究活動の推進
(4)戦略的な社会資本整備
(5)地方行財政基盤の強化
4.改革推進のためのEBPM強化

第4章当面の経済財政運営と令和7年度予算編成に向けた考え方
1.当面の経済財政運営について
2.令和7年度予算編成に向けた考え方


骨太の方針2024については、政府・与党でさらに議論を深めた上で、今月(令和6年6月)中に閣議決定される模様です。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 内閣府 ]
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0604/agenda.html

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