閉じる

会社運営に役立つ法令情報

【労務】

短時間労働者に対する適用拡大に係る事務の取扱いに関するQ&A集-令和6年10月施行分を公表

 厚生労働省から、保険局の新たな通知を発表しました。この通知は、「短時間労働者に対する適用拡大に係る事務の取扱いに関するQ&A集(その3)」に関するもので、令和6年10月1日からの適用拡大に対応しています。

以前、令和4年9月28日に発表された事務連絡「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に関するQ&A集(その2)」に基づき、短時間労働者の適用拡大が進められてきましたが、今回の改正により、さらに適用範囲が広がります。

具体的には、週所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月額8.8万円以上の短時間労働者を対象とする「特定適用事業所」の要件が、従来の「常時100人を超える企業」から「常時50人を超える企業」に拡大されます。

以下に抜粋してご紹介いたします。

問2:適用拡大の実施により、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の被保険者資格の取得要件はどのようになるのか。令和6年10月1日からは何が変わるのか。
(答)
平成28年10月1日より適用拡大が実施されたことにより、「1週の所定労働時間」及び「1月の所定労働日数」が、同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上(以下「4分の3基準」という。)である労働者については、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。

4分の3基準を満たさない場合であっても、次の@からCまでの4つの要件(以下「4要件」という。)を満たす場合は、新たに厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。
@1週の所定労働時間が20時間以上であること。
A所定内賃金が月額8.8万円以上であること。
B学生でないこと。
C以下のいずれかの適用事業所に使用されていること

(@)公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年法律第62号。)附則第17条第12項及び第46条第12項に規定する特定適用事業所(以下「特定適用事業所」という。)

(A)労使合意により事業主が適用拡大を行う旨の申出を行った特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)

(B)国又は地方公共団体の適用事業所(※)
(※)国又は地方公共団体等(一部の独立行政法人等を含む、以下「国等」という。)に勤務する短時間労働者に対しては、令和4年10月1日以後、国家公務員・地方公務員共済組合制度の短期給付・福祉事業が適用されることから、国等の適用事業所については健康保険に係る徴収、給付は行いません。

令和6年10月1日(以下「施行日」という。)以降は、特定適用事業所における、いわゆる企業規模要件について、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時100人を超える企業から常時50人を超える企業に拡大されます。

問3:最初の雇用期間が2月以内である場合は、当該期間を超えて使用されることが見込まれることとして取り扱われることはないのか。
(答)
最初の雇用契約の期間が2月以内であっても、次の(ア)又は(イ)に該当する場合は、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」に該当するものとして、最初の雇用期間に基づき使用され始めた時に被保険者の資格を取得することになります。

(ア)就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される旨」又は「更新される場合がある旨」が明示されていること。
(イ)同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、契約更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績があること。

ただし、(ア)又は(イ)に該当する場合であっても、2月以内で定められた最初の雇用契約の期間を超えて使用しないことについて労使双方が合意(※)しているときは、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」には該当しないこととして取り扱います。
(※)書面による合意(メールによる合意も含む。)が必要となります。

問7:使用される被保険者の総数が常時50人を超えるか否かの判定は、適用事業所ごとに行うのか。
(答)
使用される被保険者の総数が常時50人を超えるか否かの判定は企業ごとに行いますが、具体的には以下のいずれかの考え方で判定します。

@法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時50人を超えるか否かによって判定します。
A個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時50人を超えるか否かによって判定します。

問8:「被保険者の総数が常時50人を超える」において、被保険者はどのような者を指すのか。適用拡大の対象となる短時間労働者や70歳以上で健康保険のみ加入している被保険者は対象に含めるのか。
(答)
特定適用事業所に該当するか判断する際の被保険者とは、適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数(共済組合員たる厚生年金保険の被保険者を含む。)になります。
そのため、適用拡大の対象となる短時間労働者や70歳以上で健康保険のみ加入しているような方は対象に含めません。

問9:「被保険者の総数が常時50人を超える」とは、どのような状態を指すのか。どの時点で常時50人を超えると判断することになるのか。
(答)
「被保険者の総数が常時50人を超える」とは、
@法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。
A個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。

問30:1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合とはどのような場合か。また、そのような場合は1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。
(答)
4週5休制等のため、1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動し一定ではない場合等は、当該周期における1週間の所定労働時間を平均し、算出します。

問31:所定労働時間が1か月単位で定められている場合、1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。
(答)
1か月の所定労働時間を12分の52で除して算出します(1年間を52週とし、1か月を12分の52週とし、12分の52で除すことで1週間の所定労働時間を算出する)。

問34:就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週20時間未満である者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が週20時間以上となった場合は、どのように取り扱うのか。また、施行日前から当該状態であった場合は、施行日から被保険者の資格を取得するのか。
(答)
実際の労働時間が連続する2月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。
なお、施行時においては、実際の労働時間が直近2月において週20時間以上となっており、引き続き同様の状態が続くことが見込まれる場合は、施行日から被保険者の資格を取得します。


適用拡大に伴い、不明点がある場合は、このQ&A集を参考にしてください。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240914S0010.pdf

ページTOPへ