【経営】
中小企業庁では、毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」に合わせ、受注企業が、発注企業にどの程度価格交渉・価格転嫁できたかを把握するための調査を実施しています。
2024年9月時点の調査の結果、(1)発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた割合は、前回から約2ポイント増の28.3%で、価格交渉できる雰囲気が更に醸成されつつあります。
(2)価格転嫁率は49.7%で、コストの増額分を全額価格転嫁できた企業の割合が増加しました。そのほか、価格転嫁に関する発注側企業による説明状況や、サプライチェーンの各段階における価格転嫁の状況、官公需における価格交渉・価格転嫁の状況についても初めて調査を行いました。
中小企業庁としては、一層の価格交渉・価格転嫁の推進、取引適正化の推進に向け、関係省庁と連携しながら、様々な対策に粘り強く取り組んでいきます。
1.「価格交渉」、「価格転嫁」、「価格交渉促進月間」とは
「価格転嫁」とは、モノやサービスを製造・提供する際にコストが膨らんだとき、その上昇分を価格に反映することです。そして、その「価格転嫁」に先立って行われるのが、発注者・受注者間で行われる「価格交渉」であり、この2つはクルマの両輪と言えます。
価格の改定は、半期に一度、4月と10月に行う企業が比較的多いことから、中小企業庁では、その前月である3月と9月を、「価格交渉促進月間」と設定し、価格交渉・価格転嫁の促進のため、広報や講習会、フォローアップのための調査を行っています。
2.価格交渉促進月間フォローアップ調査の概要
2024年9月の「価格交渉促進月間」において、中小企業の取引状況を正確に把握するため、(1)アンケート調査と、(2)下請Gメンによるヒアリングを実施。
(1)アンケート調査
中小企業を対象に、主な発注企業との間で、どの程度価格交渉・価格転嫁が行われたかを問うアンケート調査を実施。
・配布先の企業数:30万社
・調査期間:2024年9月25日から11月11日
・回答企業数:51,282社(※回答から抽出される発注側企業数は延べ54,430社)
主な質問項目
・主な発注企業との価格交渉・価格転嫁の実施状況
・労務費についての価格交渉の状況
・価格転嫁に関する発注企業による説明の状況
・該当取引における自社の取引階層と価格転嫁の実施状況
・賃上げと価格転嫁の実施状況
(2)下請Gメンによるヒアリング
発注側の企業との間における価格交渉の内容や転嫁状況等について、全国の中小企業から広くヒアリングを実施。
・調査期間
2024年10月21日から12月中旬(予定)
・ヒアリング件数 約2,000社(予定)
3.調査結果
結果の概要は、以下のとおりです。
・発注企業から交渉の申し入れがあり、価格交渉が行われた割合が増加するなど、価格交渉できる雰囲気が更に醸成されつつある傾向です※。
・価格転嫁率は49.7%でした。コストの増額分を全額価格転嫁できた企業の割合が増加しましたが、「転嫁できた企業」と「できない企業」とで二極化が明らかとなっています※。
・価格交渉が行われた企業のうち、7割超が「労務費についても価格交渉が実施された」と回答しました。
・価格交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業のうち、発注企業から価格転嫁について、「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割でした。今後も発注企業に対し、価格交渉の場の設定のみならず、価格に関する受注企業への十分な説明も求めていきます。
・サプライチェーンの段階と価格転嫁の関係については、受注企業の取引階層が深くなるにつれて、価格転嫁の割合が低くなる傾向がみられました。
・賃上げ率については、価格転嫁ができている割合が高いほど、受注企業の賃上げ率も高い傾向がみられました。
(※)「価格交渉不要」「価格転嫁不要」の回答を除いた場合の割合。
価格交渉推進月間の実施とフォローアップ調査結果(中小企業)
https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241129001/20241129001-1.pdf
4.今後のスケジュール(予定)
・2月上旬目途:発注企業ごとの価格交渉・価格転嫁の評価を記載したリストの公表
・リスト公表後:評価が芳しくない企業に対する、所管大臣名による指導・助言
5.関連リンク
価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/follow-up/index.html
詳しくは下記参照先をご覧ください。