閉じる

会社運営に役立つ法令情報

【経営】

事業全体を対象とする担保制度(企業価値担保権)

[金融庁]より「公表」された情報です。
金融機関による事業性融資への取組を促す施策として、企業価値担保権の創設等を内容とする「事業性融資の推進等に関する法律」が令和6年6月に成立しました。(令和8年春頃施行予定)企業価値担保権は、不動産担保や経営保証に過度に依存しない、企業の事業性に着目した融資を後押しする制度です。

1:事業性融資の推進等に関する法律の概要
事業者が、不動産担保や経営者保証等によらず、事業の実態や将来性に着目した融資を受けやすくなるよう、事業性融資の推進に関し、「基本理念」、「国の責務」、「事業性融資推進本部」、「企業価値担保権」、「認定事業性融資推進支援機関」等について定めます。

◎基本理念・国の責務
・事業者と金融機関等の緊密な連携の下、事業の継続及び発展に必要な資金の調達等の円滑化を図る。
国は、その基本理念にのっとり、事業性融資の推進に関する施策を策定・実施する責務を有する。

◎事業性融資推進本部の設置
・事業性融資の推進に総合的かつ集中的に取り組むため、金融庁に事業性融資推進本部(本部長:金融担当大臣)を設置する。
・本部長の構成員は、金融担当大臣、経済産業大臣、財務大臣、農林水産大臣及び法務大臣等とする。
・事業性融資の推進に関する基本方針を定める。

◎企業価値担保権の創設
・有形資産に乏しいスタートアップや、経営者保証により事業承継や思い切った事業展開を躊躇している事業者等の資金調達を円滑化
 するため、無形資産を含む事業全体を担保する制度(企業価値担保権)を創設する。
・企業価値担保権を活用する場合、債務者の粉飾等の例外を除き、経営者保証の利用を制限する。
・企業価値担保権の設定に伴う権利義務に関する適切な理解や取引先等の一般債権者保護等、担保権の適切な活用を確保するため、
 たに創設する信託業の免許
を受けた者を担保権者とする。
・担保権実行時には、企業価値を損なうことがないよう、事業継続に不可欠な費用(商取引債権・労働債権等)について優先的に弁済
 し、事業譲渡の対価を融資返済に充てる。

◎認定事業性融資推進支援機関制度の導入
・企業価値担保権の活用等を支援するため、事業性融資について高度な専門的知見を有し、事業者や金融機関等に対して助言・指導を
 行う機関の認定制度
を導入する。

2:企業価値担保権の活用による事業性融資の推進

企業価値担保権の活用による事業性融資の推進


3:企業価値担保権の設定及び効力等について

企業価値担保権の設定及び効力について


4:信託契約による企業価値担保権の設定【新法第8条第1項等】

信託契約による企業価値担保権の設定


◎適切な制度運用
・設定時に信託会社が借り手に対して制度概要※を説明【新法第40条第1項、準用信託業法第25条等】
・担保権が実行される場合には、
→一般債権者等のために、事業譲渡の対価の一部を確保【新法第8条第2項第1号ハ、第62条等】
→事業譲渡の対価から、貸し手の金銭債権に充当【新法第8条第2項第1号ロ、第62条等】

(注)貸し手が複数元の場合(シンジケートローン等)、事前の取り決めに従って配分

◎新たな信託業を創設(金融庁が監督)し、その業務範囲に応じた簡素な規制を課す【新法第3章第3節】

(注)貸し手と担保権者(信託会社)が一致することもあり得る

※企業価値担保権の制度概要
・担保目的財産等【新法第7条第1項、第9条等】
 会社の総財産(無形資産含む事業全体の価値)、債権者の請求による極度額の設定等
・実行手続きの流れ【新法第3章第5節】
・粉飾等があった場合を除き、経営者保証の利用を制限【新法第12条】

5:企業価値担保権の実行手続【新法第3章第5節】

企業価値担保権の実行手続き

6:事業性融資を推進する支援体制【新法第4章】
主務大臣は、支援業務について、専門的知見や十分な実施体制を備えている者を認定する(認定事業性融資推進支援機関)。【新法第232条第1項等】

事業性融資を推進する支援体制

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 金融庁 ]
https://www.fsa.go.jp/news/r6/sonota/20240719/02.pdf

ページTOPへ