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【経営】

中小企業におけるデザイン経営の効果・ニーズに関する調査

[特許庁]より「公表」された情報です。
特許庁デザイン経営プロジェクトチームは、中小企業がデザイン経営を複数年にわたって実践することで生まれた変化や効果、そしてデザイン経営と知的財産の関係性について調査し、その結果をまとめた報告書を2025年4月に公表しました。今回の調査範囲において、デザイン経営には「1.自社らしさの明確化」、「2.人材の採用と定着化」、「3.新しい仕事の創出」の3つの効果があることが見えてきました。そして、それぞれの効果が、どのようなアクションを取ることで生まれていくのかも、モデルにしてご紹介しています。

◎背景と目的
2018年の『「デザイン経営」宣言』(経済産業省・特許庁)以降、行政などの支援機関は中小企業のデザイン経営の実践を積極的に支援してきました。しかし、その効果は客観的に評価しにくく、企業によっては成果が現れるまでに年単位の時間を要することもあるため、デザイン経営を説得力のある形で広く普及することは依然として難しい課題となっています。デザイン経営の効果を明確化し、中小企業のデザイン経営支援へのニーズを把握することで、支援機関が説得力をもってその有効性を伝え、中小企業によるデザイン経営の実践が広がる好循環サイクルを目指します。

本調査の狙い


◎本調査の全体像
本調査では、有識者による検討会を複数回開催しながら、アンケート調査とインタビュー調査から支援プログラムに参加した中小企業におけるデザイン経営の効果や、今後の支援プログラムへのニーズを確認しました。
また、インタビューを通して中小企業で確認された3つの効果(@自社らしさの明確化、A人材の採用と定着化、B新しい仕事の創出)に着目し、これらの効果が発現するプロセスを具体的な取組とともに紹介しています。

実施事項


◎デザイン経営の3つの効果
中小企業22社にデザイン経営の効果の深堀りを実施。デザイン経営の人格形成・文化醸成・価値創造に対応づけると、【自社らしさの明確化】、【人材の採用と定着化】、【新しい仕事の創出】、の3つの効果として抽出できます。

デザイン経営の効果


◎デザイン経営の効果発現モデル
中小企業がデザイン経営支援プログラムに参加する過程で、どのような行動や取組みを通じて効果を生み出してたのかを体系的に整理し、「デザイン経営の効果発現モデル」として可視化しました。

特に、支援プログラムの参加中と参加後の具体的アクションに着目し、それらがどのようにして3つの主要な効果に結びついたのかを明らかにすることで、デザイン経営の実践が成果に至るプロセスを立体的に捉えています。

デザイン経営の効果発現モデル


◎3つの効果発現モデルの全体像
デザイン経営は「自分らしさ」を言語化し、経営の軸を定めることで、人材を惹きつけ、新たな仕事を創り出します。デザイン経営を継続している中小企業では、複数の効果が連鎖的・継続的に生まれています。

3つの効果発現モデルの全体像



◎デザイン経営を継続した企業のモデルケース
インタビュー調査では、支援プログラム終了後もデザイン経営を継続し、投資を続ける企業が多く確認されました。初めは「新商品を開発し、売上を伸ばしたい」といった短・中期的な利益を求めて参加した経営者も、支援プログラムを通じて「自社らしさ」に徹底的に向き合い、事業開発や企業変革の核となる、より本質的な部分を模索。その過程でデザイン経営のポテンシャル(可能性)を実感し、プログラム終了後もデザイン経営への継続的な投資(人材面、資金面)を行い、最終的に売り上げ成長などの財務的効果を実現しています。

支援プログラム後もデザイン経営を継続した企業のモデルケース



◎今後の支援プログラムへの期待
インタビュー調査では、今後のデザイン経営支援プログラムへの期待として
@中小企業の状況(デザイン経営を始める企業、継続的に取り組む企業)に応じた柔軟な支援の提供
A外部人材に不慣れな中小企業と支援者の円滑な連携の促進
B支援終了後もデザイン経営を継続するための体制づくりの支援
が求められていることを確認しました。

今後のデザイン経営セインプログラムに期待されていること


◎これからの知財活用支援に向けて
本調査を通じ、デザイン経営支援が中小企業の知的財産に与える影響が見えてきました。

従来、知的財産の視点が「知的財産権」に偏ると、焦点が「権利化」に限定され、企業が持つ潜在的な知的資産を十分に捉えられないまま知財活用が進められるという課題がありました。一方で、「知的財産」を中心に据えることで、視野は「形式知化→権利化」のプロセス全体に広がり、知的資産の活用が促進されます。その際、デザイン経営の支援プログラムが有効な施策となります。デザイン経営は潜在的な知的資産にも焦点を当てることから、知的財産を単に知的財産権へと変換するだけでなく、双方向の視野を持つ統合的な知財活用支援に発展させる可能性を秘めています。

知的財産を中心に据えた知財活用支援の見方

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 特許庁 ]
https://www.jpo.go.jp/introduction/soshiki/design_keiei/document/kouka/report_summary.pdf

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