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会社運営に役立つ法令情報

【経営】

令和6年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組

[公正取引委員会]より「公表」された情報です。
令和6年度の下請法違反行為に対する勧告は21件でした。これは平成以降で過去最多となります。勧告の対象となった違反行為類型の内訳については、不当な経済上の利益の提供要請が11件、下請代金の減額が8件、やり直し等が2件、受領拒否が1件、返品が1件、買いたたきが1件、購入等強制が1件となっています。(注)1件の勧告事件において複数の違反行為類型について勧告を行っている場合があるため、違反行為類型の内訳の合計数と勧告件数とは一致していません。

1:主な勧告事件の概要
【価格転嫁に関連するもの(減額)】
・生活協同組合コープさっぽろは、「月次リベート」や「システム利用料」等の額を下請代金の額から差し引くことにより、下請事業者
 の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減じていた。減額金額は、下請事業者27名に対し、総額2537万4079円であり、生
 活協同組合コープさっぽろは勧告前に当該金額を下請事業者に支払っている。

【主な勧告の内容】
・今後、下請代金の減額を行わないこと等を取締役会等の決議により確認すること
・下請法の遵守体制を整備すること

【その他の行為類型(受領拒否、不当な給付内容の変更及び不当なやり直し)】
・潟Vャトレーゼは、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者に製造を委託した自社の店舗等で販売する洋菓子等の
 包装資材及び原料について、受領期日を経過しているにもかかわらず、いまだその一部を受領していない(受領拒否)。
※潟Vャトレーゼに対しては、不当な経済上の利益の提供要請についても勧告を行った。

【主な勧告の内容】
・受領していなかった商品を受領すること
・下請法の遵守体制を整備すること

2:勧告・指導件数(8,251件)の業種別内訳

勧告・指導件数の業種別内訳


3:中小事業者等の取引適正化に向けた取組
◎適切な価格転嫁の実現に向けた取組

(1)下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案
<企業取引研究会>
・優越的地位の濫用規制の在り方について、下請法を中心に検討
・計6回の会合を開催し、令和6年12月25日に研究会報告書を取りまとめ・公表

下請法改正法案の国会提出
令和7年3月11日、下請法について、協議を適切に行わない代金額の決定の禁止等の措置を講ずること等を内容とする下請法の改正法案が、第217回通常国会に提出されました。

(2)令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査(令和6年12月)
<調査結果>
・労務費転換指針の認知度(令和6年5月時点)は約50%
・指針を知っている事業者の方が、労務費上昇を理由とする取引価格引上げが実現しやすい傾向
・価格転嫁円滑化の状況については一定程度進展

調査結果を踏まえた事業者名の公表
令和7年3月14日、相当数の取引先について協議を経ない取引価格の据置き等が確認された事業者3名について、独禁法第43条の規定に基づき、その事業者名を公表

(3)買いたたき、減額などに該当する事案に対する厳正かつ積極的な法執行
<令和6年度の下請法執行状況>
・8,230件の指導
・21件の勧告(下請法違反の認定、事業者名の公表)

◎下請法改正法案(背景・趣旨等)
近年の急激な労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を受け、「物価上昇を上回る賃上げ」を実現するためには、事業者において賃上げの原資の確保が必要。

中小企業をはじめとする事業者が各々賃上げの原資を確保するためには、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」の実現を図っていくことが重要。

例えば、協議に応じない一方的な価格決定行為など、価格転嫁を阻害し、受注者に負担を押しつける商慣行を一掃していくことで、取引を適正化し、価格転嫁をさらに進めていくため、下請法改正法案を国会に提出した。
(令和7年3月11日閣議決定⇒第217回通常国会に提出)

施行期日:公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日

◎下請法改正法案(主な改正事項一覧)
<規制の見直し>
(1)協議を適切に行わない代金額の決定の禁止(価格据え置き取引への対応)
代金に関する協議に応じない、必要な説明・情報提供をしないことによる、一方的な代金額の決定を禁止

(2)手形払等の禁止
対象取引において、手形払を禁止。その他の支払手段(電子記録債権、ファクタリング等)についても、支払期日までに代金相当額を得ることが困難なものを禁止

(3)運送委託の対象取引への追加(物流問題への対応)
対象取引に、発荷主が運送事業者に対して物品の運送を委託する取引を追加

(4)従業員基準の追加(適用基準の追加)
従業員数300人(役務提供委託等は100人)の区分を新設

(5)面的執行の強化
事業所管省庁の主務大臣に指導・助言権限を付与。相互情報提供に係る規定を新設

<「下請」等の用語の見直し>
・題名について、以下のとおり定める。
「下請代金支払遅延等防止法」→「製造委託等に係る中小委託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」

・用語について、以下のとおり改める。
「下請事業者」→「中小受託事業者」
「新事業者」→「委託事業者」等

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 公正取引委員会 ]
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/may/250512_R6_gaiyou.pdf

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