【経営】
[厚生労働省]より「お知らせ」です。
「多様な正社員」とは、従来の正社員と異なり、職務内容・勤務地・労働時間などを限定して選択できる柔軟な雇用形態を指します。近年、育児や介護、学習など個々の事情に応じた働き方を望む声が高まる中、企業側も多様な人材の確保と活用が課題となっています。
この制度は、労働者の多様なニーズと企業の人事戦略の両立を図る有効な手段とされており、正社員と非正規雇用の二極化を緩和し、多様な働き方を実現するために注目されています。勤務地や職務、勤務時間を限定することで、ワーク・ライフ・バランスの向上と人材の定着を両立させるこの制度の導入・運用に向けたポイントが、厚生労働省から公表されています。
T 多様な正社員とは
一般的に、正社員は、@労働契約の期間の定めがない、A所定労働時間がフルタイムである、B直接雇用である者をいいます。
多様な正社員とは、いわゆる正社員(従来の正社員)と比べ、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限定されている正社員のことを指します。
現在、多様な正社員を導入・運用している企業は約5割に達していますが、その理由として「優秀な人材を確保するため」や「従業員の定着を図るため」、「仕事と育児や介護の両立(ワーク・ライフ・バランス)支援のため」等が挙げられています。
■多様な正社員導入・運用のメリットについて
それでは、多様な正社員の導入・運用は、企業そして労働者にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
U 多様な正社員の活用を図るには?
■多様な正社員の活用ケース
ここでは、企業の抱える人材の確保や有効活用に向けた課題を解決するために、多様な正社員を活用しているケースをご紹介します。勤務地、職務、勤務時間の限定については、いずれかの限定があるケースの他、これらを組み合わせたケースもあります。多様な正社員を導入・運用する際の参考にしてください。
■多様な正社員を活用する際の雇用管理上の留意事項
多様な正社員の活用を図る際には、具体的にどのような点に留意すればよいのでしょうか。
ここでは、多様な正社員を円滑に導入・運用し、企業と労働者双方にとってメリットのある制度とするための雇用管理上の留意事項を7つご紹介します。
・留意事項(1)労働者に対する限定の内容の明示
転勤、配置転換などに関する紛争を未然に防止し、また労働者にとってもキャリア形成の見通しがつきやすく、ワーク・ライフ・バランスを図りやすくするとともに、企業にとっても優秀な人材を確保しやすくするためにも、勤務地や職務に限定がある場合には限定の内容について明示しましょう。
・留意事項(2)多様な正社員への転換制度
非正規雇用の労働者の希望に応じて、雇用の安定を図りつつキャリア・アップや勤続に応じた処遇が得られるよう、多様な正社員への転換制度を設けましょう。
また、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現や、企業の優秀な人材の確保・定着などのため、いわゆる正社員から多様な正社員への転換制度も用意しましょう。
・留意事項(3)いわゆる正社員と多様な正社員間の均衡処遇(賃金、昇進・昇格)
多様な正社員といわゆる正社員との双方に不公平感を与えず、また、モチベーションを維持するため、多様な正社員といわゆる正社員間の処遇の均衡を図ることが望まれます。
・留意事項(4)いわゆる正社員の働き方の見直し
多様な正社員を活用しやすくするために、いわゆる正社員の働き方(所定外労働、転勤や配置転換の必要性や期間など)を見直すことが望まれます。
・留意事項(5)人材育成・キャリア形成
労働者が職業能力を計画的に習得できるよう、職業訓練機会を付与するとともに、中長期的なキャリア形成に役立つ専門的・実践的な教育訓練への支援を行うことが望まれます。
・留意事項(6)制度の設計・導入・運用に当たっての労使コミュニケーション
多様な正社員を円滑に導入・運用するため、制度の設計・導入・運用の際には、労働者に対する十分な情報提供と、労働者との十分な協議を行いましょう。
・留意事項(7)事業所閉鎖や職務の廃止などへの対応
勤務地や職務の限定が明確にされているとしても、事業所の閉鎖や職務の廃止の場合に直ちに解雇が有効となるものではありません。事業所閉鎖等に直面した場合は、解雇回避のための措置として配置転換などを可能な範囲で行うことが求められます。
詳しくは下記参照先をご覧ください。