【労務】
[厚生労働省]より「公表」された情報です。
厚生労働省は、閣議で「令和7年版厚生労働白書」(令和6年度厚生労働行政年次報告)を報告し、公表しました。
「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて、広く国民に伝えることを目的にとりまとめており、令和7年版は、平成13(2001)年の「厚生労働白書」発刊から数えて24冊目となります。
令和7年版厚生労働白書は、今年のテーマについて掘り下げる第1部と、厚生労働行政の施策をまとめた第2部の2部構成となっています。その年ごとのテーマを設定している第1部では「次世代の主役となる若者の皆さんへ−変化する社会における社会保障・労働施策の役割を知る−」と題して、社会保障や労働施策の役割と方向性、若者の意識、施策を知る意義、社会保障教育や労働法教育の取り組みを紹介しています。
第1章 社会保障と労働施策の役割とこれから
● 社会保障や労働施策の役割について概観
● 人口減少・超高齢社会を迎える日本で今後求められるのが「全世代型社会保障」。「全世代型社会保障構築会議」の報告書の方向性に沿って、現状の課題をデータを元に整理し、望ましい社会に向けた今後の方向性を提示
※ 若者にとって、社会の変化や社会保障・労働施策の今後の方向性を知ることは、「社会保障や労働施策を知ることの意義」を考える前提となる。
1.社会保障の役割
◆社会保障の始まりと主な制度の概要
◆なぜ社会保障が必要か
【MEMO】
・社会保障制度を支える仕組み
(給付と負担、社会保障と財政)
2.労働施策の役割
◆労働施策の始まりと主な施策の概要
◆なぜ労働施策が必要か
【MEMO】
・労働施策を支える仕組み
(都道府県労働局、労働基準監督署、ハローワーク)
3.人口減少・超高齢社会とこれからの社会保障・労働施策
(1)「少子化・人口減少」の流れを変える
◆出生数と合計特殊出生率の推移、晩婚化、未婚の状況などについて紹介
◆子育て環境の整備、労働市場・雇用の在り方の見直しの重要性を説明
(2)「超高齢社会」に備える
◆高齢者・女性をとりまく状況、就業の多様化について紹介
◆中立的な社会保障制度の構築、女性や高齢者などの就労促進、全世代型対応の重要性を説明
(3)「地域の支え合い」を強める
◆地域の過疎化、地域のつながりの希薄化の状況などについて紹介
◆医療・介護・福祉などの包括的なケアの提供体制整備や地域共生社会の実現の重要性を説明
(4)まとめ
◆現在の社会状況に合わせて社会保障や労働施策の見直しが求められる
◆「全ての世代で社会保障を支え、社会保障は全ての世代を支える」という共通認識の下で制度を作り上げる必要
第2章 社会保障・労働施策に関する若者の意識と知ることの意義
● 高校生に対して行ったアンケート調査の結果などを通じ、社会保障や労働施策に関する若者の意識を概観
● 具体的な事例などを通じ、若者が社会保障や労働施策を知ることの意義を提示
1.若者の社会保障・労働施策に関する意識
(1)社会保障・労働施策への関心・理解
◆関心がある割合は、介護は4割強、福祉・公衆衛生は5割弱、医療・年金は6割前後、労働分野は8割前後
◆理解している割合は、いずれも5〜6割(参考@参照)
(2)社会保障教育・労働法教育の効果
◆社会保障教育や労働法教育を受けた経験がある場合には、社会保障や労働施策への関心度や理解度が高くなっている傾向(参考A参照)
2.社会保障や労働施策を知ることの意義
(1)ミクロの視点 〜一人ひとりの社会生活上の課題解決に役立てる〜
● 具体的な事例などを通じて考察
1 生活上の困り事の相談、解決ができるようになる
◆社会保障の仕組みや相談窓口を知ることの重要性
※自治体のヤングケアラー支援の取組み(参考B参照)
2 働いていてトラブルに巻き込まれたときに解決できる
◆働くときのルールを知ることの重要性
※「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン(参考B参照)
3 万が一のときの備えができる
◆生活上のリスクに対する備え/「わたしと年金」エッセイ
◆働くときのリスクに対する備え/通勤災害の事例
4 将来の自分を主体的に選択できる
◆女性の出産後の働き方別の世帯の生涯可処分所得試算の紹介
(出産後に正社員で就業継続した場合と退職した場合では約1.7億円の差)
(2)マクロの視点 〜より良い社会づくりに主体的に関わる〜
● 以下の4つの視点に基づいて考察
1 社会全体で支え合う仕組みの重要性を知る
◆予測・備えが不可能なリスクを社会全体で支える仕組みの必要性や意義を知る
2 国民一人ひとりで異なる「社会保障や労働施策への関わり方」を知る
◆個々人の立場の違いにより、直面する状況が異なることを理解し、社会の在り方への考えを深める
3 社会保障や労働施策の当事者として主体的に関わる
◆利用する当事者にとどまらず、制度を支える当事者として関わる
4 地域共生社会の当事者としての意識を養う
※地域共生社会の担い手として活躍する若者を紹介(参考B参照)
<第2章:参考@>社会保障・労働施策への関心・理解
● 関心がある割合は、介護は4割強、福祉・公衆衛生は5割弱、医療・年金は6割前後、労働分野は8割前後
※「とても関心がある」「やや関心がある」を足した割合
● 理解している割合は、いずれも5〜6割
※「よく知っている」「何となく知っている」を足した割合
(資料)令和6年度少子高齢社会等調査検討事業
※ 若者の社会保障・労働施策に関する意識を調査するため、高校生(1〜3年生)を対象に、Web入力フォームによるアンケート調査(匿名)を実施。
調査期間は2025年1月14日〜1月31日。有効回答数3,000件。
<第2章:参考A>社会保障教育・労働法教育の効果
● 社会保障教育や労働法教育の経験がある場合は、社会保障や労働施策への関心度や理解度が高くなっている傾向
(資料)令和6年度少子高齢社会等調査検討事業
・若者の社会保障・労働施策に関する意識を調査するため、高校生(1〜3年生)を対象に、Web入力フォームによるアンケート調査(匿名)を実施。調査期間は2025年1月14日〜1月31日。有効回答数3,000件。
・関心度は、社会保障・労働施策それぞれについて、各分野に関して「とても関心がある」を4点、「やや関心がある」を3点、「どちらともいえない」を2点、「あまり関心がない」を1点、「全く関心がない」を0点と点数化し、その合計点を元に3つに分類した。
・理解度は、社会保障・労働施策それぞれについて、各項目について、「よく知っている」を4点、「何となく知っている」を3点、「どちらともいえない」を2点、「あまり知らない」を1点、「全く知らない」を0点と点数化し、その合計点を元に3つに分類した。
第3章 若者に社会保障や労働施策を知ってもらうための取組状況と方向性
● これまでの取組みの経緯や、現場においてどのような社会保障教育・労働法教育が実施されているかを紹介
● 今後の社会保障教育や労働法教育の取組みの方向性を提示
1.これまでの検討状況
◆有識者による検討会や現場の教員の意見も踏まえ、教材の開発などを実施(参考@参照)
2.現場における取組状況
社会保障教育の取組み
● 厚生労働省が作成したストーリー教材などを使用した、高校における授業の取組み
1 「公共」の授業における取組み(社会保障教育)
◆主に、制度の在り方などマクロ的視点からのアプローチで学習
2 「家庭基礎」の授業における取組み(社会保障教育)
◆主に、自身の生活を起点に社会へ視野を広げるミクロ的視点からの学習
労働法教育の取組み
● 厚生労働省やハローワークなどによる高校や大学などへの講師派遣(セミナー)の取組み
3 働く前に必要な基礎的知識を身につける「労働条件セミナー」
◆講師を派遣して、アルバイト中・就職予定の学生・生徒向けにセミナーを実施
4 過労死のご遺族や弁護士による啓発授業
◆「過労死」などに関する問題の社会的関心の高まりを受け、過労死のご遺族や弁護士による啓発授業の実施
5 ハローワーク職員などによる職業意識の形成支援
◆学校在学中の早期段階から職業意識が形成されるよう支援
民間の取組み
6 全国社会保険労務士会連合会における取組み
◆労働・社会保険分野の専門家である社会保険労務士が、社会貢献への取組みの一環で、学校における社会保障教育・労働法教育を実施
◆そのほか、企業の新入社員研修や地域における研修会など様々な場で取組みを実施
3.今後の方向性
◆@学校教育や金融経済教育との連携、A社会保障教育と労働法教育の相互連携、B本省と地方支分部局の連携 の推進
◆社会の変化とともに社会保障や労働施策のニーズは変化。どのような制度を選び取るか次世代を担う若者と一緒に不断に考えていく必要
<参考資料1>若者の社会保障教育・労働法教育の経験など
● 高校生で社会保障教育や労働法教育の経験があるのは、ともに6割超
● 社会保障教育では5割超、労働法教育では7割が内容を覚えている
(資料)令和6年度少子高齢社会等調査検討事業
※ 若者の社会保障・労働施策に関する意識を調査するため、高校生(1〜3年生)を対象に、Web入力フォームによるアンケート調査(匿名)を実施。 調査期間は2025年1月14日〜1月31日。有効回答数3,000件。
<参考資料2>社会保障教育:社会保障の理念の理解促進への効果
● 社会保障教育によって、社会保障の理念である「社会保障制度は、社会全体の支え合いの仕組みである」 ということへの理解が促進されることが示唆される
(資料)令和6年度少子高齢社会等調査検討事業
※ 若者の社会保障・労働施策に関する意識を調査するため、高校生(1〜3年生)を対象に、Web入力フォームによるアンケート調査(匿名)を実施。 調査期間は2025年1月14日〜1月31日。有効回答数3,000件。
詳しくは下記参照先をご覧ください。