【労務】
[厚生労働省]より「お知らせ」です。
厚生労働省より、「令和6年改正育児・介護休業法」に関するQ&Aが更新されました。
令和7年10月1日施行の改正内容に関する実務的な疑問点について、企業の対応例や留意事項を含めて詳しく解説されています。育児休業の分割取得や、介護休業の柔軟な運用に関するポイントなど、労務担当者が押さえておきたい内容が追加されています。
追加・修正されたQ&Aをご紹介いたします。
Q2-6:「柔軟な働き方を実現するための措置」について、事業主は正規・非正規雇用労働者間で異なる措置を選択してもよいですか。
※令和7年9月24日 回答一部修正(下線部)
A2-6:「柔軟な働き方を実現するための措置」について、正規・非正規雇用労働者間で異なる措置を選択して措置する場合、パートタイム・有期雇用労働法により、
(a)職務の内容、
(b)職務の内容・配置の変更の範囲、
(c)その他の事情
のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理な待遇差に当たらないようにすることが求められます。併せて、正規・非正規雇用労働者間で異なる取扱いをする場合には、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)第14条第2項及び事業主が講ずべき短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針(平成19年厚生労働省告示第326号)にのっとり、事業主においてその差異の理由を労働者に対して合理的に説明できなければなりません。
Q2-7-2:パートタイム労働者等の労働契約上1日の所定労働時間が6時間以下とされている者(「パートタイム労働者等」という。)の場合、当該短時間勤務制度の選択肢は措置済みと理解してよろしいでしょうか。または、短時間勤務制度以外で、2つ以上の措置を実施しなければならないのでしょうか。
※令和7年9月24日 回答一部修正(下線部)
A2-7-2:パートタイム労働者等についても、新制度(柔軟な働き方を実現するための措置)の対象となるところ、事業主が短時間労働者も含めて、@短時間勤務制度(1日の所定労働時間を少なくとも6時間に短縮できるもの)(※)とAそれ以外の4つの選択肢のいずれかの措置で@A合わせて2つ以上講じた場合、新制度(柔軟な働き方を実現するための措置)の措置義務を履行したこととなります。なお、労働者の労働契約上の1日の所定労働時間が6時間以下であることをもって「短時間勤務制度」の措置を講じたことにはならず、事業主は短時間勤務制度を含む5つの選択肢の中から、2つ以上を選択して措置する義務があります。
また、例えば、労働契約上の1日の所定労働時間が6時間以下の短時間労働者と、1日の所定労働時間が6時間を超える正社員がいる事業所において、正社員には短時間勤務制度以外の選択肢から2つの措置を講じつつ、短時間労働者には短時間勤務制度を含む2つの措置を講じるような場合、パートタイム・有期雇用労働法により、
(a)職務の内容、
(b)職務の内容・配置の変更の範囲、
(c)その他の事情
のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理な待遇差に当たらないようにすることが求められます。併せて、事業主において、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律第 14 条第2項及び事業主が講ずべき短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針にのっとり、その際の理由を労働者に対して合理的に説明できなければなりません。
※ 柔軟な働き方を実現するための措置や子が3歳未満の労働者を対象とする育児・介護休業法第 23 条に基づく措置としての短時間勤務制度については、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとした上で、1日の所定労働時間を5時間とする措置又は7時間とする措置、1週間のうち所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置、週休3日とする措置等も併せて講ずることが望ましいとされています。
Q2-7-3:パートタイム労働者等の労働契約上1日の所定労働時間が6時間以下とされている者(以下「パートタイム労働者等」という。)について、@短時間勤務制度(1日の所定労働時間を少なくとも6時間に短縮できるもの)(※)とAそれ以外の4つの選択肢のいずれかの措置とで合わせて2つの措置を事業主が講じ、かつ、当該パートタイム労働者等がAの措置を選択した場合、労働契約上の1日の所定労働時間(6時間以下)を変更しないまま、Aの措置を利用できることになるのでしょうか。
※令和7年9月24日 追加
A2-7-3:パートタイム労働者等は、労働契約上の1日の所定労働時間(6時間以下)を変更しないまま、Aの措置を利用できることとなります。
事業主が、「柔軟な働き方を実現するための措置」として、@短時間勤務制度(1日の所定労働時間を少なくとも6時間に短縮できるもの)(※)とAそれ以外の4つの選択肢のいずれかの措置とで合わせて2つの措置を講じた場合、パートタイム労働者等についても、@短時間勤務制度とAの措置のいずれを利用するかを選択する権利を有することになります。
その際、Aの措置のうち「始業時刻等の変更」「テレワーク等」「養育両立支援休暇」については、労働契約上の1日の所定労働時間を変更することなく利用できるものである必要があるため、当該パートタイム労働者等は、労働契約上の1日の所定労働時間(6時間以下)を変更することなく、Aの措置を利用することができます。
「保育施設の設置運営等」については、措置の適用前後で所定労働時間を変更することなく利用できることを求める法令上の規定はありませんが、労働者の職種や業務内容等から利用できないことがあらかじめ想定できるものを措置することは、事業主が措置義務を果たしたとは認められないことに留意が必要です。(詳細はQ2-5をご参照ください。)
なお、柔軟な働き方を実現するための措置を利用する前の時点において、子が3歳未満の労働者を対象とする育児・介護休業法第 23 条に基づく措置として既に短時間勤務制度(※)を利用している場合には、柔軟な働き方を実現するための措置の選択に際して、短時間勤務制度の利用を継続するか、短時間勤務制度の利用をやめて、Aの措置を利用するかを選択することとなります。
※ 柔軟な働き方を実現するための措置や子が3歳未満の労働者を対象とする育児・介護休業法第23条に基づく措置としての短時間勤務制度については、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとした上で、1日の所定労働時間を5時間とする措置又は7時間とする措置、1週間のうち所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置、週休3日とする措置等も併せて講ずることが望ましいとされています。
Q2-7-4:3歳以上小学校就学前までの子を養育する労働者に対して「柔軟な働き方を実現するための措置」として2つの措置を講じている事業主は、当該労働者が、講じた2つの措置の一方の措置を一定期間利用し、当該期間の経過後は他方の措置を利用したい旨申し出た場合、これを認めなればいけませんか。
※令和7年9月24日 追加
A2-7-4:3歳以上小学校就学前までの子を養育する労働者は、事業主が講じた2つ以上の措置のうちいずれを利用するかを選択することができるところ、当該措置の利用開始後、当該労働者からの申出による変更を認めることは法律上特に義務付けられているものではないものの、他方で、措置の利用開始後に労働者の家庭や仕事の状況が変化する場合もあることから、当該労働者が選択した措置が当該労働者にとって適切であるかを確認すること等を目的として、定期的に面談等を実施することが望ましいとされています。
これを踏まえ、当該措置の利用開始後においても、定期的に労働者の家庭や仕事の状況を把握し、利用している措置が就業しつつ子を養育することを実質的に容易にする内容になっていない場合には、利用する措置の変更を含め柔軟に対応することが望ましいです。
Q2-7-5:「柔軟な働き方を実現するための措置」は、労働基準法第 41 条第2号に定める管理監督者についても講じる必要がありますか。
※令和7年9月24日 追加
A2-7-5:管理監督者も「柔軟な働き方を実現するための措置」の対象となります。そのため、事業主は、管理監督者についても他の労働者と同様に、「始業時刻等の変更」・「在宅勤務等の措置」・「養育両立支援休暇」・「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」・「所定労働時間の短縮」のうちいずれか2以上の措置を講じ、3歳以降小学校就学前の子を養育する期間において、これらの措置の利用を可能とする必要があります。
なお、管理監督者については、始業・終業時刻等について広範な裁量が認められていることにより、労働基準法の労働時間等に関する規定が適用除外されていますが、管理監督者であることをもって「所定労働時間の短縮」や「始業時刻等の変更」の措置を講じたことにはならず、事業主はこれらの措置を含む5つの選択肢の中から、2つ以上を選択して措置する義務がある点に留意してください。
また、労働基準法第 41 条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとされています。このため、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらず、かつ、事業主が講じた「所定労働時間の短縮」の措置の利用を当該「管理職」が申し出る場合には、所定労働時間の短縮措置を講じなければなりません。
Q2-18-2:事業主が他の事業者が運営する企業主導型保育施設の共同利用契約を結ぶことは、「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」として認められますか。
※令和7年9月24日 追加
A2-18-2:事業主が他の事業者が運営する企業主導型保育施設の共同利用契約を結ぶことは、「その他これに準ずる便宜の供与」の措置を講じたものとして認められる場合があります。(「その他これに準ずる便宜の供与」の具体的内容については、Q2-15〜Q2-17もご参照ください。)
例えば、事業主が他の事業者が運営する企業主導型保育施設と共同利用契約を結び、一定の従業員枠を確保した上で(手配)、労働者の保育料の一部または全部を負担する等の措置(費用負担)を行った場合、事業主の「手配」と「費用負担」を満たすため、「その他これに準ずる便宜の供与」の措置を講じたものとして認められます。
他方、次のような場合は「その他これに準ずる便宜の供与」には該当しませんので、ご留意ください。
・ 事業主が企業主導型保育施設と共同利用契約をあらかじめ結んでおらず、労働者が自ら保育サービス利用に係る手続を行わなければならない場合(「手配」の要件を満たさないため)。
・ 共同利用契約上、事業主の費用負担が発生せず、労働者が支払う利用料も通常から減額されない場合等(「費用負担」の要件を満たさないため)。
Q2-18-3:保育施設を運営する事業主が、自社の労働者からの申出に基づきその子を当該保育施設に入園させた場合や、自社の労働者について従業員枠(上限あり)を設けることとした場合、「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」として認められますか。
※令和7年9月24日 追加
A2-18-3:事業主が設置運営する保育施設にその雇用する労働者の子を入園させる際、当該労働者以外の者の子と同様、自治体への利用申込と利用調整を経た上で入園させるような場合には、当該労働者について事業主が「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」を講じたものとは認められません。
他方、例えば、自社の労働者について、事業主が自ら設置運営する保育施設の従業員枠を活用し、自治体への利用申込と利用調整を経ることなく入園できることとした場合は、「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」を講じたものとして認められます。
なお、自社の労働者について従業員枠を設けるに当たっては、当該従業員枠が当該保育施設の利用を希望する労働者の数と比較して著しく少なく、利用できる労働者がほとんどいない場合には、「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」の措置が講じられているとは言えないことにもご留意ください。
詳しくは下記参照先をご覧ください。