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会社運営に役立つ法令情報

【税制】

令和7年分 年末調整のしかた─昨年と比べて変わった点(基礎控除の見直し等)

[国税庁]より「公表」された情報です。

国税庁から、「令和7年分 年末調整のしかた」が公表されました。
年末調整の基本的な流れに加え、令和6年分からの変更点として「基礎控除の見直し」や「扶養控除申告書の様式変更」などが紹介されています。企業の経理・人事担当者は、今年の実務対応に向けて早めの確認が推奨されます。



T 昨年と比べて変わった点(基礎控除の見直し等)


1 所得税の基礎控除の見直し等
2 年末残高調書を用いた方式(調書方式)による住宅借入金等特別控除
3 令和8年分以後の給与の源泉徴収事務における留意事項


※ご注意ください※

通勤手当に係る非課税限度額の改正が行われる場合には、年末調整での対応が必要となることがあります。
年末調整の前には、国税庁ホームページで最新情報を必ず確認してください。

「年末調整がよくわかるページ」
http://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm



1 所得税の基礎控除の見直し等


令和7年度税制改正により、次のとおり、所得税の「基礎控除」や「給与所得控除」に関する見直し、「特定親族特別控除」の創設が行われました。
これらの改正は、原則として、令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用されます。
このため、令和7年12月に行う年末調整など、令和7年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます。


1−1 改正の概要


(1)基礎控除の見直し

イ 次のとおり、合計所得金額に応じて、基礎控除額が改正されました。

合計所得金額/基礎控除額


(注)

1 改正後の所得税法第 86 条の規定による基礎控除額58万円に、改正後の租税特別措置法第41条の16の2の規定による加算額を加算した額となります。

2 58万円にそれぞれ37万円、30万円、10万円、5万円を加算した金額となります。なお、この加算は、居住者についてのみ適用があります。

3 特定支出控除や所得金額調整控除の適用がある場合には、表の金額とは異なります。

4 合計所得金額2,350万円超の場合の基礎控除額に改正はありません。


ロ 基礎控除額の改正に伴い、令和8年分以後の「源泉徴収税額表」が改正されました。


(2)給与所得控除の見直し

イ 給与所得控除について、55万円の最低保障額が65万円に引き上げられました。


【給与所得控除額(改正された範囲)】

給与の収入金額/給与所得控除額


(注)給与の収入金額190万円超の場合の給与所得控除額に改正はありません。


ロ 給与所得控除の改正に伴い、令和7年分以後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」及び令和8年分以後の「源泉徴収税額表が改正されました。


(3)特定親族特別控除の創設

イ 所得者が特定親族を有する場合には、その所得者の総所得金額等から、その特定親族1人につき、その特定親族の合計所得金額に応じて次の金額を控除する特定親族特別控除が創設されました。


【特定親族】

特定親族とは、所得者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます。)で合計所得金額が58万円超123万円以下(注)の人をいいます。

なお、親族には児童福祉法の規定により養育を委託された、いわゆる里子を含みます。


(注) 収入が給与だけの場合には、その年中の収入金額が123万円超188万円以下であれば、合計所得金額が58万円超123万円以下となります。

なお、下記の「参考」のとおり、親族の合計所得金額が58万円以下の場合は、特定親族特別控除の対象とはなりませんが、扶養控除の対象となります(年齢19歳以上23歳未満の親族は特定扶養親族に該当し、扶養控除額は63万円です。)。


なお、年末調整において特定親族特別控除の適用を受けようとする人は、給与の支払者に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出する必要があります。


【特定親族特別控除額】

特定親族の合計所得金額/特定親族特別控除額


(注)特定支出控除の適用がある場合には、表の金額とは異なります。



【参考:所得者が生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族を有する場合に受けられる控除】

控除額/扶養控除/特定親族特別控除


ロ 控除対象扶養親族と、合計所得金額が100万円以下である特定親族は「源泉控除対象親族」とされました。
給与の支払を受ける人は、令和8年1月以後に支払を受けるべき給与について提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」及び「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」に「源泉控除対象親族」を記載することとなり、給与の支払者は、記載された「源泉控除対象親族」等を基に扶養親族等の数を算定することとなりました。


(4)扶養親族等の所得要件の改正

上記(1)イの基礎控除の改正に伴い、次の表のとおり、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件(注1)が改正されました。
また、上記(2)イの給与所得控除の改正に伴い、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額が65万円(改正前:55万円)に引き上げられました。


【所得要件】

扶養親族等の区分/所得要件


(注)

1 合計所得金額(ひとり親の生計を一にする子については総所得金額等の合計額)の要件をいいます。

2 特定支出控除の適用がある場合には、表の金額とは異なります



1−2 年末調整における留意事項


@ 給与の支払を受ける人に、改正により新たに扶養控除等の対象となった親族等がいないか確認してください(改正により新たに扶養控除等の対象となった親族等がいる場合には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受けてください。)。

A 特定親族特別控除の適用を受けようとする給与の支払を受ける人から、「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出を受けてください。

B 改正後の基礎控除額や給与所得控除額等に基づいて、年末調整の計算をしてください。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 国税庁 ]
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/01.htm

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