【労務】
教育訓練休暇給付金のご案内
[厚生労働省]からの「お知らせ」です。
教育訓練休暇給付金は、雇用保険の一般被保険者である従業員が30日以上の無給休暇を取得し、教育訓練に専念する際に生活費を支援する制度です。
急速なデジタル化や産業構造の変化に対応するため、企業には就業規則の整備やハローワークへの手続きなど、学び直しを後押しする環境づくりが求められます。こうした取り組みは、人的資本経営の実践や企業の競争力強化にもつながります。
「教育訓練休暇給付金」とは
労働者が離職することなく、教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合、その訓練・休暇期間中の生活費を保障するため、失業給付(基本手当)に相当する給付として、賃金の一定割合を支給する制度です。
一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者(※)が、就業規則等に基づき連続した30日以上の無給の教育訓練休暇を取得する場合、教育訓練休暇給付金の支給が受けられます。
※高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者は対象外です。
く教育訓練休暇給付金の活用例>
・外国企業とのコミュニケーションが必要となる部署への異動を想定し、語学の習得に専念するため教育訓練休暇を取得し、その際に教育訓練休暇給付金を活用するケース。
・IT企業で勤務している労働者が、上位資格の取得のため、教育訓練休暇を取得し、その際に教育訓練休暇給付金を活用するケース。
「教育訓練休暇給付金」の概要
支 給 対 象 者 以下の@、Aの両方の要件を満たすことが必要です。
- 休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
(原則、11日以上の賃金支払いの基礎となった日数がある月が算定の対象になります。) - 休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること(※)
(過去、基本手当(失業給付)や教育訓練休暇給付金、育児休業給付金、出生時育児休業給付金を受けたことがある場合、通算できない期間が生じる場合があります。)
※離職期間があったとしても、12か月以内であれば離職前後の期間を通算できます。
(離職期間が12か月以内であっても失業給付等を受給していた場合には通算できませんのでご注意ください。
受給期間・給付日数・給付日額
○給付を受けることのできる期間(受給期間)は、休暇開始日から起算して1年間であり、受給期間内の教育訓練休暇を取得した日について給付を受けられます。
(受給期間と所定給付日数の範囲内であれば、教育訓練休暇を複数回に分割して取得した場合であっても、教育訓練休暇給付金の支給を受けられます)
○給付日数は、雇用保険に加入していた期間(Aの期間)に応じて異なります。
○給付日額は、原則休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定されます。
(失業給付の算定方法と同じであり、休暇開始日の前日を離職日とみなして算定します)
※賃金日額のほか、年齢と雇用保険に加入していた期間によっても変動します。
・表上の給付月額は、額面月収から便宜的に給付日額を算出し、当該給付日額に30日を乗じて計算したものです。
・実際に支給される額は、収入(教育訓練開始日前の賃金支払状況)、年齢、教育訓練休暇の認定状況等により異なります。
「教育訓練休暇給付金」の支給対象となる休暇
※以下の全ての要件を満たす休暇が対象です。
- 就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇
- 労働者本人が教育訓練を受講するため自発的に取得することを希望し、事業主の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇、教育訓練以外の目的を含む休暇制度に基づく休暇であっても、教育訓練を受講するための休暇であれば該当します。また、事業主や上司からの案内がきっかけであっても、本人の意思で取得を希望する休暇であれば該当します。
※収入を伴う就労を行った日、教育訓練休暇とは異なる休暇・休業(有給休暇や育児休業等)を取得した日は教育訓練のための休暇とは認められず、当該日については支給を受けられません。 - 次に定める教育訓練等を受けるための休暇
・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校又は各種学校が提供する教育訓練等
・教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等
・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの
(司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得等)
教育訓練休暇給付金」に関する注意事項
事業主に対する注意事項
注 意 解雇等を予定している労働者について虚偽の届出を行った場合罰則の対象となります。
解雇や雇止め等を予定している労働者に対して教育訓練休暇給付金の支給対象となる教育訓練休暇を取得させることは認められません。虚偽の届出を行った場合、罰則の対象となる場合があります。また、教育訓練休暇を取得した労働者を解雇等すると、一定期間、雇用関係助成金の支給を受けられなくなる場合がありますので、ご注意ください。
注 意 ハローワークから交付された書類は、速やかに対象労働者に交付してください。
後述の「「教育訓練休暇給付金」の手続の流れ(事業主)」のとおり、雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)が教育訓練休暇給付金の支給を受けるには、事業主が賃金月額証明書等の必要書類をハローワークに提出いただく必要があります。その後、ハローワークから賃金月額証明票や被保険者が申請を行うための申請書を事業主に交付しますので、事業主は、教育訓練休暇を取得している被保険者に対し、それらの書類を速やかに交付してください。
注 意 労働者に対する注意事項
教育訓練休暇給付金の支給を受けた場合、休暇開始日より前の被保険者期間や雇用保険に加入していた期間はリセットされ、通算できなくなるため、一定期間は失業給付などの雇用保険制度に基づく給付金を原則受給できません(※)。
※教育訓練休暇給付金の支給を受けた場合であっても、育児休業等給付及び介護休業給付に係るみなし被保険者期間、教育訓練給付金に係る支給要件期間には影響しないため、教育訓練休暇開始日より前の被保険者期間や雇用保険に加入していた期間も通算可能です。
注 意 受給期間を過ぎた場合、教育訓練休暇給付金の支給は受けられません。
教育訓練休暇給付金の受給期間は、休暇開始日から起算して1年間です。1年以上の教育訓練休暇を取得し、教育訓練を受講する者について、所定給付日数が残っていたとしても、受給期間を過ぎた場合は給付金の支給は受けられません(受給期間中に妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの事由が生じた場合、受給期間を延長できる場合がありますので、ハローワークにご相談ください)。
注 意 支給申請は正しく行ってください
偽り、その他不正の行為によって教育訓練休暇給付金を受けたり、受けようとした場合は、教育訓練休暇給付金を受けることができなくなり、不正に受給した金額の返還に加えて返還額の2倍の金額の納付を命じられ、詐欺罪として刑罰に処せられることがあります。
また、不正の行為があるにもかかわらず、ハローワークからの調査・質問に虚偽の陳述をした場合は納付命令の対象となることがあります。
仮に給付を受ける前であっても、不正の事実が認められた場合、休暇開始日前の被保険者であった期間もなかったものとみなされるので、以後一定期間は教育訓練休暇給付金のほか、失業給付など他の給付についても受けることができなくなります。
不審な事案を発見した場合は、最寄りのハローワークに通報・ご相談ください。
「教育訓練休暇給付金」の手続の流れ(事業主)
教育訓練休暇給付金を受けるためには、事業主の皆さまのご対応が必要です。
労働者から教育訓練休暇の取得の相談があった場合、下記の内容をご確認ください。
事業主の皆さまに実施していただく事項(数字は表の番号)
- 教育訓練休暇制度を就業規則または労働協約等に規定して、そのことを周知します。
就業規則等に定めた休暇制度が要件に合致しているか等、事前に確認したい場合は、対象となる労働者が教育訓練休暇を開始する前にハローワークにご相談いただくことが可能です。
なお、働き方改革推進支援センターにおいて休暇制度などに関する個別相談等を実施しています。 - 労働者から教育訓練休暇の取得について申出があった場合、調整のうえ合意します。合意後、労働者から提出された教育訓練休暇取得確認票に必要事項を記載します。
労働者(雇用保険の一般被保険者)が教育訓練休暇給付金を活用して休暇を取得するには、事業主と労働者との合意が必要です(教育訓練休暇の期間や内容が変更となる場合にも、改めて合意が必要となります)。 - 教育訓練休暇の取得を開始した労働者について、賃金月額証明書を記載し、事業所を管轄するハローワークに提出してください。
提出書類
・教育訓練休暇開始時賃金月額証明書
・休暇制度が規定されている就業規則等
・対象労働者に係る賃金台帳、出勤簿等の賃金・就労実態が確認できる書類 - ハローワークから教育訓練休暇給付金支給申請書、賃金月額証明票(本人手続用)が交付されるので、対象となる労働者に交付してください。
「教育訓練休暇給付金」に関するQ&A(事業主)
Q1.業務命令で従業員に資格を取得させたいのですが、教育訓練休暇給付金の制度を活用できますか?
・教育訓練休暇給付金は、労働者(雇用保険の一般被保険者)が教育訓練に集中して取り組むため自発的に休暇を取得する場合の生活保障であることから、業務命令で休暇を取得させるために活用することは認められません。
Q2.教育訓練休暇の期間中は無給であることが必要ですが、手当などはこれに含まれますか?手当であっても給与とみなされた場合、どうなりますか?
・教育訓練休暇給付金の支給に当たっては、長期の教育訓練に専念するために休暇を取得するものであることを踏まえ、収入を伴う就労を行った日、教育訓練休暇とは異なる休暇・休業をした日(有給休暇や育児・介護休業休暇等)については認定(支給)しないこととなります。
・事業主から無給の休暇中に資格取得のための手当等(教育訓練の受講費用や資格試験の受験料の一部補助等)が支給されている場合、就労の対価として支払われるものではないことから、当該手当が支給されたことを理由に教育訓練休暇が不支給となるものではありません。
Q3.解雇等を予定している労働者に教育訓練休暇を取得させるとどうなりますか?
・労働者に教育訓練休暇を取得させる場合、賃金月額証明書において、解雇等を予定している者に休暇を取得させるものでないことを届け出る必要があります。
・届出内容と異なり、解雇等を予定している労働者(教育訓練休暇取得の承認時点で解雇等を予定している労働者)に教育訓練休暇を取得させ、その旨を偽って賃金月額証明書を届け出た場合、虚偽の届出を行ったことにより罰則の対象となる場合があります。
Q4.休暇制度をどのように就業規則等に導入すれば良いのかわかりません。どこに相談すればいいですか?
・全国47都道府県に設置されている働き方改革推進支援センターヘご相談ください。
(働き方改革推進支援センター)
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/consultation/
Q5.賃金月額証明書は休暇開始前後のどのタイミングで提出すればいいですか?就業規則の規定が要件に合致しているか確認したいのですが、休暇開始前に賃金月額証明書等の書類を提出することは可能ですか?
・賃金月額証明書(添付書類を含みます。)は、対象労働者の休暇開始後、当該休暇開始日の翌日から起算して10日を経過するまでの間に事業所の所在地を管轄するハローワークに提出してください。
・ただし、就業規則の規定が要件に合致しているか等については、休暇開始日前に事業所の所在地を管轄するハローワークでご確認いただけます。
Q6.教育訓練休暇中に、週に1回出勤を求めるなどは可能ですか?
・教育訓練に専念していただく必要があることから、教育訓練休暇中に出勤を求めることは認められず、30日以上連続して無給の休暇を取得する必要があります。
・なお、休暇開始時に予期していなかった理由により、結果的に収入を伴う就労を実施した日があった場合、当該日については支給を受けられないこととなります。
教育訓練休暇給付金についての申請様式等はこちら
く教育訓練休暇給付金ページ>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/kyukakyufukin.html