【税制】
令和8年税制改正大綱 租税特別措置等の見直し適正化
[政府与党]からの「お知らせ」です。
租税特別措置は政策的に有効である一方で、税負担の公平性を損なうため、ゼロベースで見直し、効果が乏しい措置は廃止する方針が示されています。また、EBPMに基づくデータ分析を重視し、それに基づく説明責任を強化するほか、透明性向上のため適用企業名の公表も検討されています。
さらに、企業の投資や賃上げを促すため、特定の税額控除の不適用措置を強化し、要件や対象を拡大します。過去の法人税率引下げが十分な成果を上げなかった反省を踏まえ、法人税率引上げも含めたメリハリある法人税体系へ転換し、国内投資・賃上げを後押しする方向性が示されています。
基本的な考え方
租税特別措置等は、特定の政策目的の実現に有効な政策手段となりうる一方で、税負担の歪みを生じさせる面があり、税制の「公平・中立・簡素」という基本原則に鑑み、真に必要なものに限定していくことが極めて重要である。こそのため、現在ある租税特別措置等については、ゼロベースで見直すことを基本とし、毎年度、期限が到来する措置を中心に、実態を検証した上で、政策効果が低いものは廃止すべきである。
さらに、適用状況等によっては期限前であっても、必要に応じ見直しを行うことが重要である。検証に当たっては、政策の合理性に加え、租税特別措置等が政策手段として有効であり、また、補助金等他の手段と比較しても相当であることを厳に確認するとともに、適用実績が僅少でないか、長期にわたり固定化していないか、といった観点も踏まえる必要がある。
租税特別措置等の創設や拡充を行う場合には、減収額を埋める財源の確保はもとより、こうした観点から一層厳格な検討が求められる。
なお、政策の実効性・必要性を立証するためには、EBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)に基づく適切なデータを用いた分析・検証が必要である。とりわけ、対象者に特定の行動変容を促す、いわゆるインセンティブ措置については、データによる分析・検証に基づき、税制によって行動変容が実現し、政策効果が発現したことが厳格に立証されなければならない。
所管省庁においては、令和8年度税制改正の結果も踏まえつつ、令和9年度税制改正に向けて、租税特別措置等の要望段階から、データに基づいた説明責任を果たすことが求められる。あわせて、租税特別措置等の見直しをより一層進める観点から、税務データの整備を進め、その活用を図る必要がある。
(1)租税特別措置の適用実態調査のあり方
租税特別措置の見直しをより一層進めていく観点からは、租税特別措置の透明性の更なる向上が必要である。わが国においては、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(平成二十二年法律第八号)に基づき、租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書において、法人税関係の租税特別措置について、措置ごとの適用者数、適用総額、第十順位までの高額適用額等が公表されている。
一方、既に補助金等の交付先名が原則として公表されていることや、諸外国において租税の特別措置の適用企業名が公表される仕組みが整備されている例があることを踏まえ、一層の透明化を図る観点から、適用企業名の公表について、早期に具体化を図る必要がある。企業の経営戦略に与える影響や国・企業双方の事務負担等にも配慮しつつ、具体化に向けた検討を行い、令和9年度税制改正において結論を得る。
(2)租税特別措置(特定の税額控除規定)の不適用措置
「強い経済」の実現に向け、国が先頭に立ち、官民力を合わせて社会課題の解決に向けて投資を拡大し、日本の持続的な成長力と国際的な存在感を高めていく必要がある。こうした観点から、今般、大胆な設備投資促進税制の創設や研究開発税制等の強化を行ったところであるが、同時に、投資や賃上げに消極的な企業の行動変容を促す観点から、特定の租税特別措置の適用を停止する措置について、設備投資と賃上げに係る要件を同時に達成することを求めるなど、要件の強化を行うとともに、不適用の対象となる措置を拡充する。引き続き、企業による投資や賃上げの対応等を踏まえつつ、本措置の要件の強化や、対象となる租税特別措置・企業の拡大について検討を行い、より積極的な設備投資や賃上げを行う企業に、税制の後押しを集中・深化させていく。
(3)今後の法人税のあり方
「強い経済」を実現するためには、「責任ある積極財政」の下、大胆かつ戦略的な危機管理投資・成長投資を進め、雇用と所得を増やし、潜在成長力を引き上げるための取組みが極めて重要であり、国がその先頭に立つことは言うまでもない。しかし、国内投資の拡大や賃上げの取組みの主役は他ならぬ企業である。
令和7年度税制改正大綱においては、これまでの法人税改革の振り返りとして「わが国では、世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中、2010年代に、設備投資や雇用・賃上げの促進、立地競争力の強化を図るため、法人税率を23.2%まで引き下げた」が、「企業部門では収益が拡大したにもかかわらず、現預金等が積み上がり続けた」、「設備投資については、法人税改革以降、海外投資等が増加したのに対し、大企業を中心に国内投資は低水準で推移した。
賃上げについても、諸外国と比較して、長年低迷してきた。他方、企業の利益が現預金として社内にとどまる傾向が一層強まってきた」と指摘している。その上で、「法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ず、法人税のあり方を転換していかなければならない。
これまで現預金を大きく積み上げてきた大企業を中心に企業が国内投資や賃上げに機動的に取り組むよう、減税措置の実効性を高める観点からも、レベニュー・ニュートラルの観点からも、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、メリハリのある法人税体系を構築していく」との方向性が示されている。
今後の法人税については、こうした方向性を踏まえ、企業が国内投資や賃上げにより積極的に取り組む効果を発揮させる観点から、メリハリのある対応を講じていく。
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