【税制】
令和8年税制改正大綱 持続可能な発展のための地方税体系の構築
[政府与党]からの「お知らせ」です。
都市と地方の財政力格差が拡大する中、地方の持続的発展を確保するため、地方法人課税の偏在是正を進める方針です。法人事業税の資本割を特別法人事業税・譲与税の対象とするほか、所得割・収入割の扱いも見直し、令和9年度に結論を得ます。また、東京都特別区の固定資産税の偏在是正も検討します。
一方、租税特別措置は公平性確保の観点からゼロベースで見直し、効果が低いものは廃止します。創設・拡充時にはEBPMに基づくデータ検証を必須とし、必要に応じて適用企業名の公表など透明性向上も図ります。
都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
地方の活力は、すなわち日本の活力である。地方の伸びしろを活かし、地方の暮らしの安定と活力向上を図るためにも、地方公共団体が、地域の実情に応じたきめ細かな行政サービスを安定的に提供していくことが重要である。
近年、地方税収が増加する中で、令和6年度・7年度の東京都の財源超過額が2年連続で過去最高となるなど、都市・地方の財政力格差が拡大している。
こうした状況を背景に、行政サービスの地域間格差も拡大しており、東京都と隣接する地方公共団体等からは「地域間格差が看過し得ない水準にまで拡大」との声が上がっている。
財政力格差や行政サービスの地域間格差は主に地方税源の偏在によって生じている。地方法人課税においては、大法人の本店の東京都への集中が続いていることに加え、東京都のみに納税する法人が増加し、特に資本金50億円以上の大法人においてその割合が高まるなど、税源が東京都に集中する状況が続いている。また、東京都が課税する特別区の土地に係る固定資産税についても、人口、企業等の集積や都市開発の進展等に伴う近年の大幅な地価上昇によって、全国に占める税収シェアが拡大の一途をたどっている。
こうした経済社会構造の変化は、企業行動を最適化した結果から生じる構造的な問題であり、今後も進行していくと考えられ、行政サービスの地域間格差の拡大はこの進行を更に推し進めることとなる。
一方で、都市の維持・発展には、地方が担う食料生産やエネルギー供給等の機能が不可欠であり、とりわけ人材の供給という面でみれば、地方で育った若年層の東京都への転出超過は年間約10万人に達しており、これらの人材が都市の活力を支えている。東京都も含めたわが国全体が将来にわたり持続可能な形で発展していくためには、地方の活力の維持・向上が不可欠であり、都市も地方もお互いに支え合うという基本的考えに立ち、今こそ偏在性の小さい地方税体系の構築に向けた具体的な取組みを講ずる必要がある。
こうした観点から、特に偏在度の高い地方法人課税における税源の偏在を是正する追加的な措置として、新たに法人事業税資本割を特別法人事業税・譲与税の対象とするとともに、所得割・収入割に係る特別法人事業税・譲与税の割合を高めるなどの措置を検討し、令和9年度税制改正において結論を得る。
加えて、東京都が課税する特別区の土地に係る固定資産税について、著しく税収が偏在している状況に鑑み、その課税の仕組みや、東京都と特別区の事務配分の特例、都区財政調整制度といった東京都特有の制度への影響等を踏まえつつ、必要な措置を検討し、令和9年度以降の税制改正において結論を得る。
租税特別措置等の見直し適正化
(1)賃上げ促進税制
物価高に負けない構造的・持続的な賃上げを強化する観点から、令和6年度税制改正において、賃上げ促進税制を抜本的に強化した。一方、足元では賃金上昇率がバブル期以来の水準となる高い伸びを示しており、本税制の要件となる水準を大きく上回る状況にある。このように、企業の賃上げをめぐる状況は令和6年度税制改正当時と大いに様変わりしている。
こうした状況に鑑み、コーポレートガバナンス改革に基づく人的資本への投資促進の要請や、税制が生産性の高い分野への労働移動を阻害する可能性、中小企業の人手不足感が大企業よりも強い状況等を踏まえ、大企業向け措置については適用期限を待たずに廃止する。中堅企業向け措置については、令和8年度においてはより高い賃上げを促す方向で要件を強化しつつ継続し、適用期限をもって廃止する。
一方、中小企業向け措置については、人材獲得競争の中で防衛的賃上げに取り組む企業にも配慮し、令和8年度は現行制度を維持することとし、期限到来時に適用状況等を踏まえ、必要な見直しを検討する。
なお、教育訓練費を増加させた場合の上乗せ要件については、教育訓練費の増加額を税額控除額が上回る場合があるという会計検査院の指摘を踏まえ、廃止する。
(2)研究開発税制
研究開発税制については、EBPMの観点から、データに基づく分析を踏まえ、企業が試験研究費を増加させるインセンティブを更に強化する。
一般型の控除率カーブ及び控除上限の変動措置について、近年の物価上昇等の状況も踏まえ、控除率の上限は維持しつつ、試験研究費の増加を促す観点から所要の見直しを行う。
また、税制の対象となる試験研究の範囲に関し、科学技術創造立国実現の礎となる、国内の研究人材や研究開発拠点の維持・強化の観点から、海外への委託研究について、諸外国と同様、一定の制限(令和8年度:70%、令和9年度:60%、令和10年度:50%)を設ける(ただし、国内での試験研究に馴染まない海外での治験については制限の対象外とする。)。
詳しくは下記参照先をご覧ください