経営
2026年版「中小企業白書・小規模企業白書」が閣議決定されました
[中小企業庁]より「公表」された情報です
中小企業庁は、『2026年版中小企業白書・小規模企業白書』を取りまとめ、閣議決定されました。
経営環境の転換期において、中小企業は「稼ぐ力」を高め、「強い中小企業」へと成長することが重要という考えの下、労働生産性の向上に有効な取組や、経営者が持つべき基本的知識である「経営リテラシー」の強化・実践に焦点を当てて分析を行っています。
本記事では、『2026年版中小企業白書・小規模企業白書』の一部をご紹介いたします。
経営環境の転換期において現状維持は最大のリスク。経営者の能力の差が明暗を分ける。短期的な損益を追うのではなく、長期的な視点で事業・組織構造を再構築していく「戦略」を持った経営に転換し、「稼ぐ力」を高め、「強い中小企業」へと成長することが重要。
現状・課題
- 中小企業の賃上げは、日本経済の成長にとって極めて重要。
- 実質賃金プラス定着に向け、持続的な賃上げ実現が必要。
- 一方で、中小企業の労働分配率は、既に8割に近い水準。
⇒最賃含む賃上げを継続的に行うための原資の確保が課題。
- 人口減少の進展による「労働供給制約社会」の到来。
⇒既に大きな課題である人手不足が、更に深刻化するおそれ。 - デフレ・ゼロ金利環境からインフレ・金利のある時代への移行。
必要となる取組
「稼ぐ力」の強化→賃上げ原資の確保→持続的な賃上げ実現といった好循環定着・人手不足を乗り越えて供給力の維持・向上を図ることが重要。
- 成長や変革に挑戦する「稼ぐ力」の強化を実現する取組
短期的損益を追うのではなく、リスクをとって成長投資や新たな成長分野への挑戦、M&Aによる事業・組織構造の組替えを決断できる経営力、AIトランスフォーメーション(AX)の実現が重要。 - 経営力の土台となる「経営リテラシー」の強化・実践
経営力の向上に向けて、原価管理や従業員の労務管理といった、経営者が持つべき「経営リテラシー」の強化・実践が重要。
重要となる取組例
主に中小企業
「強い中小企業」に向けた「稼ぐ力」の強化
- 中小企業間でも稼ぐ力(労働生産性)のばらつきが存在。大企業を上回る労働生産性を有する中小企業も存在。
- 付加価値額を増加させている中小企業は、価格転嫁や成長投資、事業承継・M&Aを積極的に行っている傾向。
- 「稼ぐ力」の強化に向けて、以下の取組が重要。
付加価値額の増加
A)成長投資・・・成長に向けた設備投資で高付加価値化
B)研究開発・人材育成・・・将来の付加価値向上に寄与
C)価格転嫁・・・適切な価格転嫁や差別化による価格設定
D)事業承継・M&A・・・新たな経営者による事業再編
労働投入量の最適化
E)省力化投資・・・業務プロセスの効率化
F)AI活用・デジタル化・・・付加価値向上にも期待
主に小規模事業者
経営者が持つべき「経営リテラシー」の強化・実践
- 現状、経営リテラシーは十分ではない。経営リテラシーを有する企業は、業績や人材確保等で明確な違いを生み出す。
A)財務・会計【原価管理・資金繰り】
⇒ 原価管理による価格転嫁率の向上、資金繰りに好影響
B)組織・人材【労務管理・組織活性化】
⇒ 労務管理や組織活性化は人材の確保・定着に好影響
C)運営管理【品質管理・属人化防止】
⇒ 品質管理による顧客獲得、属人化防止で円滑な業務遂行
D)経営戦略【経営計画策定・マーケティング】
⇒ 事業目標や経営計画の策定・PDCAサイクルが重要
- 企業単独ではなく、企業間連携を進めることは、新製品開発やリソースの共有など、労働生産性の向上にとっても有効。
支援機関による支援
- 中小企業の稼ぐ力の強化、経営リテラシーの強化・実践のためには、事業者のニーズに応じた支援機関による経営支援が重要。
- 経営支援に当たっては、支援機関における支援能力向上(相談員の能力開発)、支援機関同士の連携などが課題。
【現状・課題1−@】大企業との差は存在するものの、中小企業において賃上げの傾向が見られる
- 2025年春季労使交渉では、全体で5.25%、中小労働組合で4.65%の賃上げ率となり、約30年ぶりの水準だった2024年を上回った。2025年度の最低賃金は全国加重平均で前年度比+6.3%を記録。全都道府県で1,000円の水準を超えた。
- 中小企業の現金給与額は、大企業との差は存在するものの、増加傾向にある。雇用の約7割を占める中小企業における賃上げは、我が国経済にとって極めて重要。
【現状・課題1−A】雇用の約7割を占める中小企業の賃上げは、日本経済の成長にとって極めて重要
- 2025年度の賃上げの実施状況(予定を含む、定期昇給は除く)は、中規模企業では約9割が正社員、約8割がパート・アルバイトに対し、小規模事業者では約5割が正社員、約6割がパート・アルバイトに対し賃上げを実施。
- 消費者態度指数(暮らし向きや収入などに関する消費者の意識)は伸び悩む。「強い経済」の実現に向けて、実質賃金プラスを定着させ、消費を喚起することが必要。
【現状・課題1−B】中小企業の更なる賃上げ余力には課題が存在。「稼ぐ力」を高め、原資を確保することが必要
- 中小企業の労働分配率(付加価値額に占める人件費の割合、一般的に低いほど賃上げ余力が大きい)は、既に8割に近い水準にあり、大企業と比べて賃上げ余力は厳しい状況。中小企業の付加価値額に占める営業純益の割合は、10%を下回る。
- 更なる賃上げ原資の確保に向けて、成長や生産性の向上により「稼ぐ力」を高め、「強い中小企業」を目指すことが必要。
詳しくは下記参照先をご覧ください