経営
フリーランス・事業者間取引適正化等法に基づく就業環境整備のポイント
[厚生労働省]からの「お知らせ」です
都道府県労働局における法施行状況をみると、特定業務委託事業者である発注事業者による「ハラスメント対策に係る体制整備義務(法第14条)」の違反に関する指導が最も多く、そのほか、「中途解除等の予告・理由開示義務(法第16条)」や「募集情報の的確表示義務(法第12条)」の違反に関する指導等も見受けられます。
実際の事例も参考にしながら、法に沿った対応のポイントを確認してみましょう!
ハラスメント対策に係る体制整備義務(法第14条)
1.ハラスメント対策の体制整備はできていますか?
発注事業者は、ハラスメントによりフリーランスの就業環境を害することのないよう、相談対応のための体制整備など以下の措置を講じなければなりません。
(1)
ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、方針の周知・啓発
(2)
相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
(3)
業務委託におけるハラスメントへの、事後の迅速かつ適切な対応
(4)
(1)〜(3)と併せて、相談者・行為者などのプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、従業員およびフリーランスに対し周知すること、フリーランスが相談したこと等を理由に契約の解除などの不利益な取扱いをされない旨を定め、フリーランスに対し周知することが必要になります。
2.ハラスメント対策の体制整備のポイント 〜都道府県労働局における指導等の事例から〜
☑
従業員に対するハラスメント対策の体制整備はできていても、フリーランスに対する体制整備を忘れていませんか?
リモートワーク環境での業務請負事業を営む特定業務委託事業者Aは、経理業務を特定受託事業者に委託しているが、従業員に対するハラスメント対策に係る規定や相談窓口は整備していたものの、業務委託におけるハラスメント対策に係る規定や相談窓口を整備していなかった。そのため、業務委託におけるハラスメント対策に係る規定及び相談窓口を整備し、周知するよう助言した。
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ハラスメント対策の体制整備にあたって、ハラスメントの相談者・行為者などのプライバシーを保護するために必要な措置を講じていますか?
☑
フリーランスがハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由とする不利益な取扱いをしてはならない旨の規定を定めていますか?
運送業を営む特定業務委託事業者Cは、親会社から依頼された家電の配送、設置、修理を特定受託事業者に委託しているが、業務委託におけるハラスメント対策に係る体制整備に関し、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置及び特定受託業務従事者がハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由として不利益な取扱いをしてはならない旨を定めていなかった。そのため、これらの措置を講ずるよう助言した。
☑
フリーランスからハラスメントの相談を受けて必要な対応をしたあと、ハラスメントの再発防止に向けた措置を講じていますか?
娯楽業を営む特定業務委託事業者Dは、カメラマンやスタイリスト等の業務を特定受託事業者に委託しているところ、特定受託業務従事者からパワーハラスメントについて相談を受け、事実関係を調査するなどの必要な対応をしていたが、ハラスメントの再発防止に向けた措置を講じていなかった。そのため、ハラスメントの再発防止に向けた措置を講じるよう助言した。
3.ハラスメント対策の体制整備に当たっての参考資料
社内規定等の対応例
発注事業者の皆様がハラスメント対策の体制整備を進めていく上で参考にしていただける社内規定等の対応例を紹介しています。
検討の際にご活用ください。
▼あらまし(就業環境の整備)
https://www.mhlw.go.jp/content/001470693.pdf
▼ハラスメント対策を講じるにあたっての対応例(あらまし抜粋版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001583287.pdf
※以下の資料もご活用ください。
○フリーランス・事業者間取引適正化等法について
https://www.mhlw.go.jp/content/001329767.pdf
中途解除等の予告・理由開示義務(法第16条)
1.フリーランスとの契約を解除するときに、30日前までに予告していますか?また、フリーランスから解除の理由の請求があった場合に、開示していますか?
発注事業者は、フリーランスとの業務委託契約が以下に該当するときは、例外事由に該当する場合を除いて、契約の解除日または契約満了日から30日前までにその旨を予告しなければなりません。
予告義務の対象となる業務委託
STEP1
6か月以上の期間で行う業務委託に該当すること
- @6か月以上の業務委託だけでなく、A契約の更新により6か月以上継続して行うこととなる業務委託を指します。
※
基本契約を締結している場合には、個別契約ではなく基本契約をもとに期間を判断します。
※
基本契約が締結されている場合には、業務委託契約の一部をなしているものとして、基本契約に基づく個別契約だけでなく基本契約についても予告義務の対象となります。
STEP2
契約の解除または不更新に該当すること
- 「契約の解除」とは、発注事業者からの一方的な契約の解除を指します。
※
フリーランスからの解除は含みません。また、発注事業者とフリーランスの間の合意に基づく解除の場合も「契約の解除」に該当しませんが、フリーランスの自由な意思に基づくものであることが必要です。
※
発注事業者とフリーランスの間で、「一定の事由がある場合に予告なく解除できる」と定めていた場合も、例外事由に該当しない限り、直ちに予告が不要とはなりませんので留意が必要です。
- 「契約の不更新」とは、発注事業者が不更新をしようとする意思を持って、契約満了日から起算して1か月以内に次の契約を締結しない場合を指します。該当する例、該当しない例は以下のとおりです。
- 切れ目なく契約の更新がなされているまたはなされることが想定される場合であって、当該契約を更新しない場合
- 断続的な業務委託契約であって、発注事業者がフリーランスとの取引を停止するなど次の契約申込みを行わない場合
- 業務委託契約の性質一回限りであることが明らかである場合
- 継続的な業務委託契約であって、発注事業者が次の契約申込みを行うことができるかが明らかではない場合
STEP1とSTEP2の両方に該当する場合、
解除日または契約満了日から30日前までに解除または更新しない旨の予告が必要です。
※予告の例外事由
(1)
災害などのやむを得ない事由により予告が困難な場合
(2)
フリーランスに再委託している場合で、上流の事業者の契約解除などにより直ちに解除せざるを得ない場合
(3)
業務委託の期間が30日以下など短期間である場合
(4)
フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合
(5)
基本契約がある場合で、フリーランスの事情で相当な期間、個別契約が締結されていない場合
中途解除等の予告・理由開示義務(第16条)
理由開示の例外事由
予告がされた日から契約が満了するまでの間に、フリーランスが解除の理由を発注事業者に請求した場合、発注事業者は、次の例外事由を除いて、遅滞なく開示しなければなりません。
(例外事由)
@第三者の利益を害するおそれがある場合、A他の法令に違反することとなる場合
予告・理由開示の方法
予告や理由開示は、@書面の交付、Aファックス、B電子メール(※)のいずれかの方法で行わなければなりません。
(※)
電子メールのほか、SMSやSNSのメッセージ機能などのうち、送信者が受信者を特定して送信することのできるものをいいます。ブログやウェブページなどへの書き込みなどのように、特定の個人が第三者に閲覧させることを主な目的とする手段は含まれません。
2.中途解除等の予告・理由開示のポイント 〜都道府県労働局における指導等の事例から〜
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フリーランスとの契約を解除または不更新とするとき、30日前までに、書面等で予告できていますか?
☑
フリーランスに対し、契約解除の理由を説明するとき、口頭だけで説明していませんか?
運送業を営む特定業務委託事業者Eは、軽貨物の運送業務を特定受託事業者に委託しているが、契約を解除する際に30日前までに予告をしたものの、口頭で行っていた。そのため、契約解除の予告は書面や電子メール等で行うよう助言した。
ウェブ予約サービス等の事業を営む特定業務委託事業者Fは、ソフトウェアの開発・運用・提供を特定受託事業者に委託しているが、契約を解除する際に30日前までに予告せず、また、特定受託事業者からの解除理由の開示請求に対して口頭で説明していた。そのため、契約解除日の30日前までに予告するとともに、解除理由の説明は書面や電子メール等で行うよう助言した。
募集情報の的確表示義務(法第12条)
1.その募集情報の表示は大丈夫ですか?
発注事業者は、広告等(※1)によりフリーランスを募集する際は、その情報(※2)について、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければなりません。
※1:
広告等とは、(1)新聞、雑誌に掲載する広告、(2)文書の掲出・頒布、(3)書面、(4)ファックス、(5)電子メール・メッセージアプリ等(メッセージ機能があるSNSを含む。)、(6)放送、有線放送等(テレビ、ラジオ、オンデマンド放送、ホームページ、クラウドソーシングサービスのプラットフォーム等)をいいます。
※2:
業務の内容、業務に従事する場所・期間・時間に関する事項、報酬に関する事項、契約の解除・不更新に関する事項、フリーランスの募集を行う者に関する事項
- 上記(※2)の情報を広告等に表示している場合、虚偽の表示・誤解を生じさせる表示となっていませんか?正確かつ最新の内容となっていますか?
- また、募集を行う者の氏名又は名称等の6事項((1)氏名又は名称等、(2)住所(所在地)、(3)連絡先、(4)業務の内容、(5)業務に従事する場所、(6)報酬)が記載されていますか。記載がない場合は誤解を生じさせる表示に該当します。
詳細は以下をご覧下さい。
【通達】
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第12条第1項で求めている内容について
https://www.mhlw.go.jp/content/001358659.pdf
【リーフレット】
- フリーランスに業務委託をする企業の皆さまへ
https://www.mhlw.go.jp/content/001358566.pdf - 仕事をお探しのフリーランスの方へ
https://www.mhlw.go.jp/content/001358581.pdf
【的確表示義務の対象となる募集情報の事項】
| 的確表示の対象となる募集情報の事項 | 具体的な内容の例 |
|---|---|
| @業務の内容 |
|
| A業務に従事する場所・期間・時間に関する事項 |
|
| B報酬に関する事項 |
|
| C契約の解除・不更新に関する事項 |
|
| Dフリーランスの募集を行う者に関する事項 |
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2.募集情報の的確表示のポイント 〜都道府県労働局における指導等の事例から〜
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ウェブサイト等に掲載する募集情報は、募集情報を変更する度に更新していますか?
美容室を営む特定業務委託事業者Hは、美容師としての業務を委託するため、クラウドソーシングサービス事業者が提供するプラットフォーム等の複数の媒体に募集情報を掲載していたところ、報酬額を変更したにもかかわらず上記募集情報の一部に当該変更が反映されていなかった。そのため、募集内容に変更があった場合は募集情報を最新のものに更新するよう助言した。
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フリーランスの募集と、労働者の募集が混同されるような表示となっていませんか?
ウェブ予約サービス等の事業を営む特定業務委託事業者Iは、IT開発のテスト作業等の業務を委託するため、クラウドソーシングサービス事業者が提供するプラットフォームに募集情報を掲載していたところ、フリーランスの募集と労働者の募集のどちらであるか判然としない内容となっていた。そのため、フリーランスの募集と労働者の募集が混同されることのないように表示を改めるよう助言した。
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誤解を生じさせる表示とならないために必要な6事項に関する情報(※)をすべて記載していますか?
ISO認証審査サービス等の事業を営む特定業務委託事業者Jは、認証審査業務の一部を委託するためにフリーランスを募集していたところ、誤解を生じさせる表示とならないために必要な6事項に関する情報のうち報酬について、募集段階で確定的に報酬額を明示することは難しいとして記載していなかった。そのため、目安となる金額等を記載するよう助言した。
※
誤解を生じさせる表示とならないために必要な6事項に関する情報とは、募集を行う者の氏名又は名称等((1)氏名又は名称、(2)住所(所在地)、(3)連絡先、(4)業務の内容、(5)業務に従事する場所、(6)報酬)です。
その他、契約期間6ヵ月以上(更新含む)契約については、法第13条(育児介護等配慮)に基づき、フリーランスからの申出に応じて、フリーランスが育児介護等と業務を両立できるよう、必要な配慮をしなければなりません。
詳しくは下記参照先をご覧ください